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セプテンバーミーの狙いとは「絶対的未来奇譚」で示した改革の跡/インタビュー

MusicVoice 9月21日(水)16時13分配信

 4人組ロックバンドのセプテンバーミーが9月21日に、4枚目のミニアルバム『絶対的未来奇譚』をリリースする。昨年11月、3枚目のアルバム『Godspeed you!』をリリースしたときには、ドイヒロト(以下=ドイ、Vo、Gt)、ココナッツ先輩(Ba)、岸波藍(以下=岸波、Dr、Cho)の3人がバンドを構成、ポストロック/シューゲイザー系の音に強く影響を受けたというドイが作曲を務め、アルバム全体としてはバラエティ感も豊かに、且つ時にエモーショナルな面を披露しながら整然としたサウンドを聴かせていた。しかしその後、新メンバーとして以前から彼らのライブのサポートを務めていた、タナカ・ターナ(以下=タナカ、Gt、,Cho)を迎え入れ、バンドサウンドの改革を実施。今回、リリースする『絶対的未来奇譚』は、刺々しいギターサウンド、そして時に聴かれるグルービーな16ビート、カラフルなシーケンスサウンドなど、音色にも曲にもその改革の跡が随所に確認できる。ライブハウスでの活動に力を注いできただけに、パフォーマンスには絶対的な支持を得ている彼らだが、今この時期に新メンバー・タナカの加入、そしてサウンド改革をおこなった意図とはどのようなものなのかを、タナカの加入の経緯と彼らがニューアルバムに込めた思いから、探っていきたい。

「3人がすごく意識を変えられた」新メンバー、タナカ・ターナ

――今回、セプテンバーミーに正式加入されたタナカさんですが、以前にもセプテンバーミーの「妖怪ダンス」という曲のMVにも出られていましたね?ライブでもサポートをやられていた、ということですが…。

タナカ そうですね。あのMVがちょうど2014~15年だったかな。ライブもサポートしています。別の人もサポートしていたんですが、僕がメインでサポートをやらせてもらっていました。

――今回リリースされる音源を聴かせていただいたときに、前作と比較すると大分音が変わったなという印象を受けました。前回リリースされたアルバム『Godspeed you!』では、ビジュアル的にもサウンドとしても3人でのものだったということもあり、もともとトリオという形態に何らかこだわるものがあったのではと思ったのですが…。

ドイ いや、実はもともと3人ということ自体にそれほどのこだわりはなくて、いいメンバーに巡り合えるタイミングが今までなかった、というだけだったんです。「何だったらいつでも」という話は、3人でよくしていたし。

――そうでしたか。しかし、前作までの3人の体制がイメージとしては強いですよね。今回、メンバーをもう一人加えることとなった経緯は、どのようものだったのでしょうか?

ドイ もともとうちは、5人編成のバンドでした。そこから紆余曲折して3人になったのは、これ以上、脱退とか加入とか入れ替えというのを繰り返すことが、お客さんを振り回すだろうと思ったからなんです。だから新しいメンバーを入れるということに対しては結構慎重でした。でも同時に、自分の中ですべての面において、限界を感じたこともありました。だからここで、セプテンバーミーには改革的なものが必要だと考えていて、ちょうどそのタイミングでタナカがやっていたバンドが活動休止になったので「タナカもどう? 一緒にやらないか?」とアプローチしたんです。

――なるほど。以前からタナカさんと一緒にやりたいという気持ちもあったのでしょうか?

ドイ そうですね。それこそタナカと出会って初めて対バンしたときから「プレーヤー1人でこれだけ見せられる人がいるんだ」という点で、3人がすごく意識を変えられたんです。その時からセプテンバーミーは音楽的にも、バンドに対する意識もすごく変わっていったので影響も強かったし、タナカとはずっとやりたいなと思っていました。

――音楽的という部分は、タナカさんはどのような音楽の趣向をお持ちなのでしょうか?

タナカ 最近ではダブがすごく好き。ダブとかレゲエとか、体が揺れる感じですね。他にもいろんな音楽が好きなんですけど、もともとの音楽やギターへの入りはThee Michelle Gun Elephantでした。あれぞ本当のガレージで、あの人たちからカッティングの影響を受けました。そういう尖ったソリッドな感じも好きだし、ふわーっとした轟音みたいな感じっていうのも好き、本当にいろんな音をやりたいという思いが自分の中にあります。だから、今回のアルバムでも本当にいろんなことに挑戦しました。

――ドイさんは確か前回のインタビューで、趣向としてはポストロック/シューゲイザー系だということをおうかがいし、アルバム全体を聴くと音にはかなりその影響を強く感じましたが、今回のアルバムでは結構、バキバキのストレートなロックの音になったという印象がありました。また、ギターもそうなんですが、ベースもドラムも結構、フレーズが立って聴こえるというか。そういう意味でもタナカさんという存在に興味がありますね。

ドイ そうですね。ただ今回は、バンドとして「何かやろう」と初めに言っていたわけではなく、4人でのセプテンバーミーで曲を詰めていったら自然とこうなった、という感じ。気づいたらこのアルバムの音に落ち着いたという感じでしたね。

――自然に、ですか。そういう意味では、タナカさんがサポートをやられていたときからかなり共感する部分は大きかったと?

タナカ そうですね。でも…(笑)

ドイ 何だよ(笑)。まあ、でも多分サポートをやっていたときは、“タナカはサポート”として俺も割り切っていたし、タナカも割り切っていたから、多分タナカはあまり格好よくないと思っていたものも、割り切って弾いていたと思うんですよね(笑)

タナカ まあ、確かに「サポートだから」とあまり突っ込まないようにというのはあったかもしれないです(笑)

ドイ そう。でも逆に、タナカから出てきたものが格好よかったら、その格好いいままでいいと思っていました。タナカはもともとフレーズもそうなんだけど、ライブ力がすごい。特に、そのライブ力は当時の自分たちには必要だなと思っていたし、フレーズがどうこうというよりも、タナカがいればOK!みたいな。まさしくタナカがステージに立っていれば、格好いいでしょ? みたいな感じでしたね。

――なるほど。でも一方でバンドのメンバーになるということは、今言われた「サポート」という壁が取り払われるわけですよね? そこではお互いにいろいろと口を出したり、出されたりというところも浮き出てくるかと思いますが、そういう部分で危惧されたことはありませんでしたか?

ドイ いや、どうでしょう…。普通にサポートで言えなかったことを、逆に言ってほしいという思いもあったし、さらにセプテンバーミーを壊してほしい、という思いもありました。ちょうどタナカが加入した時期は、セプテンバーミーが月に20本もライブをやっていた時期とかぶっていて、そこでずっと一緒だったんで一気に距離が詰まったんです。だから今更かしこまられても、みたいな(笑)

――では、その時点では「サポート? なんのことだっけ?」というくらいの感じだったのでしょうか? 逆に新加入の華々しさはないですね(笑)

ドイ そうですね(笑)。結構まわりの認識も「タナカさんが一番、メンバーという感じがするよね」という感じで。

――逆にココナッツ先輩と岸波さんの方が蚊帳の外の人間みたいに…(笑)

ドイ それはありましたね、逆にタナカがフィーチャーされ過ぎて(笑)

――すごいエピソードですね(笑)。今回のアルバムでは、最後の2曲(New World Order、unicorn)はタナカさんが作られたということですが、他の曲と比べるとずいぶん雰囲気が違うというか…。割とドイさんの曲がモーダルというか、ワンコードを積み重ねたシンプルな作り方をされているのに対して、タナカさんの「New World Order」は結構、コードの進行が細かくて凝った作りにされていますね。プレーも大変そうですが。

タナカ そうですね。でも今回は曲作り自体よりも、歌の方が結構大変だったんじゃないかと思います。ドイさんがほかの人の曲に歌を載せる、というのは初めてだったので。

――もともとこのアルバムを作るに当たって作曲されたものなのでしょうか? 曲作りの際にはドイさんと「どんな曲にしてほしい」などという相談などはされたのでしょうか?

タナカ いや、特には。曲を作れと言われただけで(笑)。もともと自分でも曲を作りたいという思いもあったし、どうせだったらセプテンバーミーでこれまで全然やってこなかった感じの曲をやってみたかったのと、その時は特にポップスが好きで、そういうのをやりたいと思ったので作りました。

――面白いですよね。ほかの曲はストレートにロックの雰囲気みたいなものを感じるのに、この曲だけ80年代風の味付けというか。

ドイ もともと曲作りに関しては、彼のやっていたバンドの曲も好きだったし、むしろ「どういう曲ができるのかな?」というのを楽しみにしていましたね。その意味では完全にタナカを信頼していました。

――なるほど。実際にタナカさんが入って、こうしてアルバムができて、ドイさんはどんな思いを抱かれていますか? 何らかこのバンドとしてやる方向が見えてきた、とか?

ドイ それはあります。確かに何か見えてきた感じ。セプテンバーミーがやるべきことというか「セプテンバーミーはこうなんだな」というのが、すごく見えた気がします。逆に今までライブ活動がメインという恰好だったけど、それこそ次のアルバムを作りたいくらい。まだ着手はしてないけど、絶対にいいものになるという自負もあります。

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最終更新:9月21日(水)16時13分

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