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1902年開校の沖縄工業高校が大手企業への就職に強い理由

ニュースイッチ 9/21(水) 12:42配信

「凡事徹底だ」(小禄校長) 生徒と教師が同じ方向を向く

 沖縄県立沖縄工業高校は県内最古の工業高校だ。1902年開校の首里区立徒弟学校を源流に持つ。沖縄の歴史とともに名称や学科編成を変え、これまでに2万4000人(全日制)超の人材を輩出してきた。

 沖縄工業高校の卒業生の進路は2015年度だけをみても自動車、重工業、電機、化学業界などの大手企業が並ぶ。同年度は就職希望者181人中、半数以上の92人が県外企業に内定した。第32代に当たる小禄健夫校長は就職について「企業側から声がかかる」と実績に胸を張る。中学生も就職を意識して同校を受験することが多い。そのため16年度は志願倍率が2倍を超えた学科もあった。

 企業が同校を支持する理由が垣間見えるのが、実習前の「沖工訓練」だ。生徒が整列し、あいさつや社会人の規範を唱和する。服装の乱れも確認する。小禄校長は「危険を伴うため気を引き締める。凡事徹底だ」と沖工訓練の狙いを明かす。時間にして約5分の活動だが就職後の現場で学ぶ気構えがここに凝縮している。

 資格取得や技術競技会にも積極的に参加している。15年度の検定・資格取得数は全校で2013に上った。ジュニアマイスター顕彰制度では上位30校の常連。例年20―30人がゴールドに認定され、15年度の卒業生は経済産業大臣賞を受賞した。8月の「若年者ものづくり競技大会」では、メカトロニクス部門で念願の金賞を獲得した。このほか部活動ではフェンシングやバドミントンの強豪校として名が知れ、文武両道を実践している。

 「生徒と教師が同じ方向を向き、一つでも上、日本一を目指している」と小禄校長は説明する。沖工訓練は県外校を参考に、ここ10年弱で取り入れた新しい活動だ。伝統は大事にしつつ、生徒の成長のため進取の姿勢で臨む。生徒が自主的に目標を持って努力し、教職員が熱意を持って応えることが成果に結実している。

<解説>
 記事に載っている就職先はほんの一部。リストを見せてもらうと、大手企業がずらりと並んでいて驚く。大学進学を考えていた生徒が、「高卒で就職した方がいい就職先に行ける」と進路を切り替えたという話もあるという。また定着率が高いことも、企業の評価が高い理由。

 一方で沖縄経済の視点で見れば、これだけ優秀な人材が県外に流出しているというのは大きな損失。県外就職が悪いのではなく、地元に魅力的な就職の受け皿をつくることが必要。地方都市は同じ課題を抱えているが、沖縄は他県と地続きではないので、地元から通勤できず経済効果もない。

 さらに、定年退職などで沖縄に戻ってきたOBも多いはずで、その人たちが持つ技能などを伝承する機会がもっとあってよいと思う。

日刊工業新聞那覇支局長・三苫能徳

最終更新:9/21(水) 12:42

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