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日本は大丈夫か?米GEが狙う新しいモノづくり

ニュースイッチ 9月21日(水)14時14分配信

金属3Dプリンターの企業を相次ぎ買収。ユーザーから装置の供給側へ

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)が、金属3Dプリンターメーカーの買収に踏み切る。対象はスウェーデンのアーカムと、ドイツのSLMソリューションズの2社。いずれも独自の金属積層造形技術を持ち、GEは両社の蓄積を用い、航空機分野などで金属プリンターの活用を加速させる方針だ。また、これまでユーザーだったGEが装置の供給側に回ることにより、金属プリンター業界が大きく変わる可能性もある。

 GEが2社を一挙に買収する意味は大きい。まず、アーカムは、電子ビームで金属を溶融する独自技術が強み。主流のファイバーレーザーによる溶融と比べ、残留応力を低減できる点などがメリットとされる。

 一方のSLMソリューションズは複数のレーザーを用いて造形する装置を、いち早く開発した企業として知られる。単一レーザーの場合より溶融速度が高く、造形を高速化できるのが特徴だ。電子ビームとレーザーでは扱える材料も異なり、GEは買収により双方の技術を持つオンリーワンの存在となる。

 GEは数年前から、航空機関連部品などの生産に金属プリンターを適用している。切削加工などでは実現できない複雑な形状を生み出し、製品や製法の競争力を高めることが狙いだ。

 例えば、ジェットエンジンの燃料ノズル。同社子会社のGE・アビエーションによると、金属プリンターの利用により形状が最適化され、燃費効率を大幅に改善できているという。

 今回の買収からうかがえるのは、金属プリンターにかけるGEの本気度だ。金属の積層造形は大きな可能性を秘めるものの、造形速度の遅さや材料コストなど課題も少なくない。GEはこうした課題を解決すべく、一気にアクセルを踏み込むことになる。

 また、GEが、手中に収めた装置ビジネスをどう展開するかも見どころだ。例えばアーカムなどは企業規模が小さく、アフターサービスの体制が弱点。GEの後ろ盾によりこうした問題が改善され、ユーザー拡大につながる可能性もある。他方、金属プリンターで競合するメーカーの幹部は、「逆に我々にとってはチャンス。GEの競合企業はアーカムなどから買いにくくなるはず」と期待する。

 日本では一時のブームが落ち着いた感のある3Dプリンター。だが、GEをはじめ欧米の企業は今も、その将来性に熱いまなざしを向けている。

 17日まで米シカゴで開かれていた国際製造技術展「IMTS2016」。会場では3Dプリンター関連の出展が前回の数倍規模に膨れあがり、注目を浴びていた。既存工法から全てが置き換わるとは思えないものの、着実に適用領域が広がりそうな気配がある。今後も業界各社の動向から目が離せない。

最終更新:9月21日(水)14時14分

ニュースイッチ