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【マクラーレン分析:前編】驚異の進化度。ホンダは2017年のダークホースになりうる

オートスポーツweb 9/21(水) 11:38配信

 シャシーとパワーユニットの今シーズンの明らかな進化は、マクラーレン・ホンダの復活が軌道に乗り始めたことを示している。2017年にタイトルを獲得する公算は小さいが、メルセデスやフェラーリ、それにレッドブルの悩みの種にはなりそうだ。

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 マクラーレン・ホンダは2017年シーズンに本当に驚くべきパッケージになりうる。こう言うと、大胆すぎる発言だとか、馬鹿げていると言う人もいるだろう。

 マクラーレン・ホンダは現在コンストラクターズランキングで6位につけており、首位を独走するメルセデスの10分の1のポイントしか獲得できていない。これはとてつもないギャップであり、来シーズンにその背後まで迫ることができるとは考えにくい。とは言っても、ライバルたちが2017年のマクラーレン・ホンダを恐れなくてよいというわけではない。

 当初はホンダ製パワーユニットの馬力不足と信頼性の欠如により、2015年に復活したパートナーシップは悪夢のように思われた。しかし、冬のハードワークが実を結び、開幕前のプレシーズンテストでは事態が好転していることが見え始め、次第に安堵感、そして驚きさえもあった。

 チームは8日間の開幕前テストで2054周を走破したが、これは去年のプレシーズンテストで走った周回数のほぼ2倍だった。去年は2.4秒あったトップとの差も今年は1.9秒まで縮まった。

 そして、鬼門のロシアが来た。昨年はデプロイの問題により、ストレートでライバルより時速45kmも遅いという状況が発生し、ジェンソン・バトンをして「格好の標的だった」と言わせしめた。しかし、今年のマクラーレン・ホンダはソチで2台ともポイントフィニッシュを達成したのだ。

 マクラーレン・ホンダのパフォーマンスの改善は、先日のベルギーGPでより一層、明白なものとなった。昨年の予選ではトップから2.070秒離され、Q1突破も叶わなかった。しかし今年、バトンはQ3を突破しポールから1.370秒遅れの9位を獲得した。去年のレースでは両ドライバー共にトップ10圏外の周回遅れでフィニッシュしたが、今年はフェルナンド・アロンソがウイナーから59.445秒差の7位でレースを終え、ポイントを獲得した。

 チームのマシンが記録したファステストラップを昨年と比較して算出されたデータをみると、マノーを除いてこの1年間で最も進歩を果たしたチームはマクラーレン・ホンダだ。昨年比で0.795%タイムを改善し、メルセデスとの差を2.245%まで近づけた。まだまだ道のりは長いものの、データはその方向性が正しいことを示している。

 昨年、マクラーレン・ホンダで足を引っ張っていたのはホンダのPUだった。馬力不足と信頼性の欠如により、成績不振の責任は自分たちだと認めるほどであった。ホンダは7年振りにF1に復帰したが、その空白期間の大きなギャップを1年で埋めることは到底できないことを痛感し、マクラーレンはダウンフォース不足と馬力不足をドラッグの削減で補うことに開発の焦点を当てた。これが今年のマシン、MP4-31の開発哲学だった。

 MP4-31は効率のよいシャシー開発とホンダが持ち込んだアップデートにより、低速サーキットでよいパフォーマンスを見せただけでなく、スパやモンツァのような高速サーキットでも進化を証明してみせたのだ。

 この2年間、よいマシンと悪いマシンとの間を変動したことで、マクラーレンはその開発方針をいくぶん見失った。しかし、2014年にエリック・ブーリエがチームに加入したことによりエンジニアリング部門は着実に進歩を果たした。

 ピーター・プロドロモウのチーフエンジニアとして復帰はチームに大きな影響を与えた。今までとは異なるアプローチのコンセプトがフロントウイングに取り入れられ、2014年のシーズン後テストで初披露された。

 マルチエレメントのフロントウイングは、マクラーレンをメルセデスやレッドブル、それにフェラーリのコンセプトに近づけた。開発体制の基盤となるメカニカルプラットホームが変わったことで、よりよいシャシー改善への道筋が形成された。

 シャシーに必要なのは、よりよいパワーユニットだ。

 ホンダはF1に復帰する時、その挑戦を過小評価していた。現在のエンジンレギュレーションになってから2年目の2015年、つまり他チームより1年遅く参入したホンダはマイレージと開発の面で不利な立場にあった。リソースが潤沢なメルセデスやフェラーリ、それにルノーといったライバルたちに追いつくのは用意ではなかった。

 これは真新しいパートナーシップではなく、再度結ばれたパートナーシップである。しかし、ホンダが最後にF1に参戦していた2008年から、F1界では多くの物事が変わってしまった。ホンダ・エンジニアたちがF1を離れている間に、週末の働き方も変わってしまったのだ。マクラーレンがこのルーティーンに精通していたのに対し、復帰したばかりのホンダは精通していなかったのだ。ホンダが今のF1の週末の動きに慣れるまでには数レースが必要だった。

 データ分析においても、コミュニケーションに関する問題を克服するために時間が必要だった。しかし次第に、去年から今年に渡って、マクラーレンとホンダは作業のすべてがより統合されていった。この同期現象はチームに自信を生み、効率が改善されていった。
(後編につづく)

[オートスポーツweb ]

最終更新:9/22(木) 0:48

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