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注文住宅の年収倍率は6.1倍、贈与額は増加。その背景とは

SUUMOジャーナル 9/21(水) 8:00配信

注文住宅といえば、「土地を所有している人が建て替えなどで建築するもの」というのは、今は昔。
過半数の53.1%は、新たに土地を取得して注文住宅を建てている、という調査結果が報告された。住宅生産団体連合会(以下住団連)の調査結果を詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「2015年度戸建注文住宅の顧客実態調査」を報告/住宅生産団体連合会

■半数が土地を購入して建築、その合計取得費は5153万円

「2015年度戸建注文住宅の顧客実態調査」によると、「建て替え」は2012年度を境に減少を続け、2015年度は前年度から1.9ポイント減の27.7%にまで下がった。半面、「土地を購入して新築」は増加を続け、前年度から3.0ポイント増の53.1%まで上がった。

【画像1】建て替えや買い替えの状況(出典:住宅生産団体連合会「2015年度戸建注文住宅の顧客実態調査」)

建て替え派と土地購入派の大きな違いは、建築費に表れる。「建て替え」の建築費は平均3816万円で、住宅取得費のほぼすべてを占めるのに対し、「土地を購入して新築」の建築費は平均3105万円。建て替え派のほうが土地の購入費用が不要なので、建築費のグレードを高めることができるという構図が読み取れる。

全体の住宅取得費(建築費と土地代の合計)の平均額は4671万円で、年収倍率は6.1倍となった。ただし、自己資金を29.2%と3割近く用意しているのも特徴で、「借入あり」と回答した人の借入額は平均で3695万円、年収倍率では4.3倍となった。

【画像2】建築費と土地代の構成と合計金額(「土地代なし」を含む全サンプル平均)(出典:住宅生産団体連合会「2015年度戸建注文住宅の顧客実態調査」)

【画像3】住宅取得費と借入金の年収倍率推移(出典:住宅生産団体連合会「2015年度戸建注文住宅の顧客実態調査」)

■贈与額の平均が1163万円という多額になる背景とは?

さて、今回の調査で注目したいのは、贈与額の増加だ。「贈与あり」(22.1%)と回答した人の贈与額は前年度より109万円も増加し、平均で1163万円に達した。

特に、25歳以上40歳未満は3割近くが「贈与あり」となっていて、贈与が若年世帯の購入を後押ししていることがうかがえる結果だ。

【画像4】世帯主年齢別贈与ありの割合(出典:住宅生産団体連合会「2015年度戸建注文住宅の顧客実態調査」)

また、調査結果では、贈与を受けた人の73.7%が「住宅取得資金贈与非課税特例」を適用しており、さらに12.1%がこの非課税特例に加えて「基礎控除との併用」を適用している。

ほとんどの人が利用している「住宅取得資金贈与非課税特例」について説明しよう。
マイホーム(自分が住む住宅)の購入や新築・増改築(総称して取得という)のために、親や祖父母(直系尊属)から贈与を受けた場合、贈与額のうち一定額までが非課税になる制度のことで、2019年6月までの特例となっている。

一定額というのは、贈与を受けて取得する住宅の契約時期で異なり、2015年12月末までは1000万円、2017年9月末までは700万円、2018年9月末までは500万円、2019年6月末までは300万円と非課税枠が減額される仕組みとなっている。ただし、性能の高い住宅の場合は非課税枠を500万円上乗せすることができるので、2015年12月末までであれば、非課税枠は1500万円に拡大していた。

なお、適用を受けるには、一定の条件を満たすことが必要で、この特例は消費税率が10%に増税された場合、非課税枠が一段と拡大することになっている。

さて、もともと贈与税には、毎年110万円以内であれば贈与税が課されない「基礎控除」があり、この特例と併用することができる。つまり、性能の高い住宅の場合、2015年12月末までは最大で1500万円+110万円=1610万円までを非課税とすることが可能だったわけだ。

注文住宅の場合、建築費は高くなるが、高い性能の「長期優良住宅」の認定を受けているのが、全体で79.7%と極めて多いのも特徴で、長期優良住宅や低炭素住宅に認定されている場合は、文句なく非課税枠の上乗せが可能に。上乗せで非課税枠が大きくなるという背景もあって、贈与額が平均で1000万円を超える額になっていると考えられる。

2015年度の調査を見る限り、全体的に建築費は上昇、自己資金は減少、借入額は増加という傾向が見られる。贈与の非課税枠などを活用して自己資金の比率を上げ、借入額を年収の4.3倍程度の無理のない額にして、年収の6.1倍の住宅を建てようという建て主の工夫がうかがえる。

山本久美子

最終更新:9/21(水) 8:00

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