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合鹿椀に再び光を、伝統技法守る能登町・大宮さん 地元で体験教室

北國新聞社 9/21(水) 3:17配信

 能登町合鹿(ごうろく)地区発祥とされる古椀(わん)「合鹿椀」を制作する木彫刻家大宮静時さん(61)=同町十郎原(じゅうろうはら)=が、地元で合鹿椀を伝える活動に乗り出した。初めて公民館と合鹿椀作りを体験する教室を開き、地元中学校では生徒に講演する。大正期に途絶えてから約100年が経過し、地域でもその存在が風化し始めている合鹿椀に「再び目を向けてほしい」と意気込む。

 合鹿椀は江戸前期から作られるようになったとみられるが、大正期に廃れた。分業制の輪島塗と異なり、木地職人が塗りまで一貫して手掛け、通常の椀に比べて高台が高く、椀が深いのが特徴となっている。

 珠洲市出身の大宮さんは、1986(昭和61)年に工房を同市から町内に移してから、「幻の古椀」と呼ばれた合鹿椀に出合い、自分なりの解釈で作り始めた。09年には復元に成功し、町から登録商標の使用許可を得た。現在も伝統的な技法で、制作に取り組んでいるのは大宮さん一人だけである。

 大宮さんはこれまで、東京などの都市部や海外での個展が中心で、町内での展示会は年に1回程度だった。「地元との接点を増やしたい」と考えていた折、発祥の上町公民館から教室開催の依頼があり快諾した。

 教室は公民館で13日に始まり、10人が参加した。費用面から輪島市の職人が作った木地を使い、参加者は塗りの作業に取り組んでいる。輪島塗でも行われる縁の部分に布を貼る「布着せ」の作業に続き、合鹿椀の特徴である「炭粉渋(すみこしぶ)下地」という技法で柿渋に木炭の粉を混ぜた塗料を塗り、その上に漆を塗り重ねた。今月中の完成を目指す。

 大宮さんは25日に地元柳田中で初めて合鹿椀に関する講演をする。1年生24人を対象に、全国でも知られる貴重な漆器が地域で生まれたことを伝え、関心を高める。大宮さんは「全国に誇る地域の財産をもっと伝えたい。機会があれば今後も積極的に地域で活動したい」と話した。

北國新聞社

最終更新:9/21(水) 3:17

北國新聞社