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テクノロジで新たな“触感体験”を創造する--「ショッカソン2016」レポート

CNET Japan 9月21日(水)10時0分配信

 “新しい触感体験”をプロトタイピングするイベント「ショッカソン2016」。3回目となる2016年は、スパイスボックス、一般社団法人T.M.C.Nの2社主催のもと、国内の大学が開発した触覚デバイスや企業が開発したデバイス、ツールなどの提供を受けて開催された。ここでは、その模様をレポートする。

VRの普及で期待が高まる触覚技術

 まずは、VRと触覚技術をとりまく現状について少しお話ししておきたい。2016年は「VR(バーチャルリアリティ)元年」と言われ、さまざまな業界からVRに強い関心が寄せられる年となっている。10月13日に発売される「PlayStation VR」をはじめ、各社から続々と高機能な家庭用ヘッドマウントディスプレイが登場。また、「Milbox Touch」のような、安価で手軽なスマホVRゴーグルは、もはや家電量販店などで簡単に購入できるようになった。

 多くの人が気軽にVR体験をしやすい環境が急速に整うなか、映像や音声のハイファイ化だけにとどまらず、VR空間にあるモノに触った感じ(触感)が得られる「触覚フィードバック」と、これを実現するための触覚技術への期待が高まっている。


 2015年9月にKickstarterに登場し話題となった、腕に巻いたデバイスで筋肉の動きをセンシングし、電気パルスで触覚フィードバックをするH2Lの「UnlimitedHand」や、Striker VRのリニアアクチュエーターによる触覚フィードバック機能付きのライフル型コントローラー「ARENA Infinity」などが、ゲーム開発者向けキットをいち早くリリースするなど、触覚技術の活用は、まずゲーム業界から広がっていくと予想される。

 また、富士通の本多達也氏が開発を進めている、振動と光によって音の特徴を伝えるヘアピン型デバイス「Ontenna(オンテナ)」や、英国のLCC・easyJetが開発中の、振動で目的地までの道のりをナビゲートするスニーカー「Sneakairs」といったプロトタイプは、VR分野だけでなく、暮らしに役立つ道具への触覚技術の可能性として注目されている。

 ショッカソン2016のテーマは、「触覚技術の一般化」であった。過去2回のショッカソンで制作されたプロトタイプからも、“触覚界隈”が今後見せるであろう盛り上がりのきざしは読み取れたが、その技術が一般的なものになっているとはまだまだ言いがたい。

 マイナーな分野である触覚技術の“社会実装”を模索する研究機関や企業と、新しいモノ・コトに敏感なクリエイターやエンジニアたちを結びつけることで、触覚技術を使いこなし、アイデアを「かたち」にできる人を増やすこと。それがショッカソン開催の大きな意義である。2016年4月に発足し、触覚技術を扱う多くの研究機関や企業が参加している「身体性メディアコンソーシアム」の存在も、開催の大きな後押しになっている。

触覚デバイスワークショップの事前開催

 ショッカソン2016の特徴の1つは、8月末の本番ハッカソンに向けて、事前ワークショップを実施したことが挙げられる。

 これは、実際のハッカソン作業に移る前に、技術提供を受けている慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)身体性メディアプロジェクトの振動による触感プロトタイピングツール「Techtile Tool Kit」や、電気通信大学梶本研究室の電気パルスで触感を提示する「電気触覚ディスプレイ」、東京工大佐藤研究室の糸を使って繊細な力覚を提示する「SPIDAR-G」といった触覚デバイスの特徴や使い方を理解することで、プロトタイプの精度をさらに高めることを狙ったものだ。

 各製品を個別に扱ったハッカソン形式のワークショップには、延べ60人が参加した。ワークショップの前半では各デバイスのハンズオンを、後半ではデバイスを利用した触感体験のアイデアソンを実施。あまりなじみのない触覚デバイスに触れる機会を、あらかじめハッカソン参加希望者に提供した。

ショッカソン2016に提供されたデバイス・サービス・ツール

 ショッカソン2016にも、企業からさまざまなデバイスやサービス、ツールが提供された。先ほども紹介したH2LのUnlimitedHandをはじめ、富士通が開発しているセンサが埋め込まれたシューズを中心とした共創プラットフォーム「Interactive Shoes Hub」、さまざまなサービスとデバイスを連携させるためのプラットフォームとしてヤフーがリリースした「MyThings」、ソニーのブロック型IoTプロトタイピングツールの「MESH」や、ポータブルプロジェクター「LSPX-P1」などだ。

 また、IoTデバイスのプロトタイピングや教育に広く使われているマクニカの「Konashi2」や「Uzuki」、デジタルハイクの「littleBits」、家庭用プリンタで電子回路を印刷できるAgicの「回路試作インクキット」や、日本3Dプリンタの3Dプリンタ「UP Plus2」などのデジタルファブリケーションツールも提供された。

 変わったところでは、アスラテックからPepperをVRで遠隔操作できる「VRCON for Pepper」、「アニメちっくアイドル」として活躍する「桃知みなみ」さんのキャラ設定や音声データといったものまで、ハードウェア、ソフトウェア問わず幅広いものが用意された。

40人10チームによるプロトタイピング

 2016年8月9日(ハックの日)に開かれた事前説明会では、「触楽入門」の著者である北海道大学電子科学研究所附属社会創造数学研究センターの仲谷正史氏のビデオ講演と、協賛企業による提供デバイス・サービスのプレゼンの後、ハッカソンに参加するチームを編成するためのアイデアソンを実施。

 さらに、8月27日のハッカソン1日目の午前中に実施した追加アイデアソンを経て、40人の参加者から10チームが編成された。今回会場となったコワーキング・スペースMONOは、3Dプリンタやレーザーカッターを完備した工作室、コインシャワーのある休憩室を完備し、24時間利用できるため、参加者の多くは自宅に帰らず、夜通しプロトタイピング作業にいそしんでいた。

最終更新:9月21日(水)10時0分

CNET Japan

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