ここから本文です

<AV問題>女優ら300人が出演者団体に入会打診

毎日新聞 9月22日(木)7時0分配信

 アダルトビデオ(AV)への出演強要問題が表面化したのを機に、初めて誕生したAV女優らの連帯組織「表現者ネットワーク(AVAN)」が今月1日から会員登録の受け付けを開始した。代表を務める元AV女優で作家の川奈まり子さん(48)によると、21日時点で個人やプロダクションからの入会打診は約300人分。既に相談窓口を開設したほか、女優らがプロダクションと交わす統一契約書の準備や「セカンド・キャリア」をサポートする団体との連携も進んでいる。「AV業界の存在意義を高め、社会に認めてもらうことで、働く人の権利を守りたい」と意気込む川奈さんに課題と今後の展望を聞いた。【AV問題取材班】

【動画】AV女優の人権を守りたい…川奈まり子さんインタビュー

 ◇プロダクションの理解が不可欠

 --7月に団体を設立した後、今月1日に公式ホームページ(HP)をオープンし、会員の募集を始めました。反応は?

 川奈さん 21日の時点で70人弱に仮登録の会員IDを発行しました。事務処理が終わっていない分や「所属女優を全員入れる」と協力を申し出ているプロダクションが名簿を準備中の分を合わせると300人ほどになります。女優だけでなく男優や監督なども仮登録しました。「これからAVに関わりたい」「(出演強要などの問題が)話題になっているから応援したい」という方もいるので、「サポーター」として関われる仕組みも作りたいです。

 --プロダクション(女優の所属事務所)の協力は取り付けた?

 川奈さん 今月1日に約30社を集めて「仮登録のお願い」というパンフレットを所属女優さんに配ってもらうようお願いしました。最初は協力的なプロダクションとつながり、徐々に賛同の輪を広げたい。ただ、中には「(所属女優を)入会させたくない」というプロダクションもあります。「うちの女優が勝手に入会しようとしている。やめさせてくれないか」と電話してきた社長もいました。今までなぜAV出演者の“組合”ができなかったのかというと、プロダクションの抵抗が大きかったからです。

 --プロダクションの許可なく女優が入会しようとするケースにはどう対応する?

 川奈さん プロダクション名は必ず申告してもらい、「そちらの女優さんが登録したいと言っていますが、いいですか?」と連絡します。「ダメ」となったら、私が説得します。プロダクションに理解してもらえないとこういった活動はできません。2014年に発足した「日本AV男優協会」はほんの半年で解散しました。その時も私の知る限り、やはりプロダクションの抵抗があったということです。

 --なぜ抵抗するのでしょう?

 川奈さん 一番の理由としては、「(女優の)引き抜きが怖い」と聞きます。でも、そこはプロダクションに乗り越えてほしい。自分たちの仕事に誇りを持っているなら、女優の扱いに自信があるなら、引き抜きを恐れなくてもいいのでは。それから、女優の間で情報交換ができるようになると「あの子の方がギャラが高い」「あのプロダクションに行った方がいいんじゃないか?」と思うようになり、(女優とプロダクションの)信頼関係が壊れてしまう。そこを(プロダクションは)怖がっています。ギャラの高い女優は撮影の日数や規模が違ったのかもしれないし、いろいろきついことをやっているのかもしれない。でも、単純にギャラで比べると誤解が広がってしまう。そこは私たちも配慮して、「AV出演ガイド」のようなマニュアルを作ろうと思っています。



 ◇統一契約書は出演者の「主体性」を強調

 --会費は(仮登録期間の)来年3月まで無料としていますが、その後は?

 川奈さん だいたい入会金が600円、年会費が2400円程度になる予定です。運営費は主にメーカーからの寄付や「準会員」のプロダクションの会費でまかなっていきます。一般の方からの寄付も募っています。

 --統一契約書の準備状況は?

 川奈さん 既にたたき台ができていて、今プロダクションに見てもらっているところです。もう一度手を加えたら使えるようになると思います。通常、契約書はプロダクションを「甲」、出演者を「乙」としますが、AVANの契約書は逆です。出演者「甲」が自分の意思でプロダクション「乙」に(マネジメントの)業務を委託する。さらに、1ページ目の1~2行目から「AV出演」とはっきりうたっています。「AVとはこういうものである」と契約書のすぐ目につく所に書かせていただいた。もし、気持ちが定まっていない人が見たら「やっぱりやめた!」となるかもしれない。気持ちが定まっていない人はぜひやめてほしい。出たい人が、主体性をもって出演するのでなければ許せないと思うんです。「強要」という言葉が持つ響きがすごく強いので、「強制わいせつ」のように誤解されている。でも、「うまくごまかされて出た」「AVがどんなものかよく分かっていなかった」という人もいる。これはあり得ない。そうではなく、「AVに出るが、自分ではプロダクション業務をできないからあなた方がやってください」という女優さんでなければ、AV業界で働いてはいけないんです。

 --統一契約書は、広く使ってもらえるものになりそうですか?

 川奈さん 協力的なプロダクションは今後、「準会員」になって統一契約書を使っていただけると見込んでいます。しかし、「準会員にはならないが所属女優の入会は認める」というプロダクションもいずれ出てくるでしょう。その女優さんたちに統一契約書を使わせてあげたい時、どうするか。なんとか(プロダクション側に)理解していただくことになると思います。使っていくうちにその良さが分かるはずです。

 ◇AVの社会的認知目指す活動も

 --AV出演者の「セカンド・キャリア」についての対策は?

 川奈さん 再就職支援を行っているいくつかの団体と連携します。「心のコーチング」を得意とする団体や、スキルを身につけてチャレンジさせる団体、女性に特化した団体など(の担当者)に会っているところです。日本傾聴連合会を通じて、カウンセラーとも連携します。

 --今後、他にはどんな活動を?

 AV業界の存在意義を高めていき、社会に認めてもらえるようにしていきたい。例えば、既に仮登録した現役AV男優が参加している「AIDS文化フォーラム」への支援などの社会活動も考えています。いい試みをしている会員をサポートしていきたい。AVが社会に受け入れてもらえないと、働く人の権利は守られません。「AVは悪だ」「消えるべきだ」という論調で固められるのはつらいことです。業界内の調整も大切ですが、それ以上に社会に向けて「AVがあってもいいでしょう」とアピールしていかなくてはならないと思います。

*        *        *

AVANの公式HP:http://www.avan.or.jp/

最終更新:9月22日(木)7時0分

毎日新聞

いかにして巨大イカを見つけたか
人類は水中撮影を始めたときから巨大イカ(ダイオウイカ)を探し求めてきました。しかしその深海の怪物を見つけることは難しく、今まで撮影に成功したことはありませんでした。海洋学者であり発明家でもあるエディス・ウィダーは、ダイオウイカの初の撮影を可能にした知見とチームワークについて語ります。