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180度回転「ありえない」 天竜川転覆、元船頭主任が検察と対立

@S[アットエス] by 静岡新聞 9月22日(木)8時15分配信

 21日に静岡地裁で始まった天竜川下り船転覆事故の公判で、業務上過失致死の罪に問われた3人のうち、唯一無罪を主張した元船頭主任の男は川底から湧き上がり渦を巻く「噴流」で船首が上流方向へ180度回転、岩壁に衝突して5人の犠牲者を出した事故の予見可能性を巡り、検察と真っ向から対立した。一方、検察側証人として出廷した別の元船頭の男性は、事故以前にも現場付近で船が180度回転した経験を証言した。

 「検察側の証拠からも無罪は明らかだ」―。閉廷後、被告の弁護人を務める鈴木敏弘弁護士は報道陣の囲み取材に自信を示した。

 被告は罪状認否でメモを見て「あの場所で普通、船が180度も転回することはありえない。なぜそんな操船をしたのか理解できない」と訴えた。傍聴席を振り返り謝罪も述べたが、自らの責任は、はっきり否定した。

 一方、21日午後には被告の元同僚で、事故当日は転覆した船の直前に現場を通過した元船頭の男性が出廷。2010年ごろに事故現場付近で客を乗せていた際に噴流を受け、船が180度回転、事故にはならなかったが「ハラハラした」などと振り返った。

 男性は検察官から「なぜ船頭主任に報告しなかったのか」と問われ、「事故にはならなかったため。特に報告を義務付けられてはいなかった」と答えた。

 検察の冒頭陳述によると、船頭主任は船頭の指導訓練を行う立場にあったという。

 これに対し鈴木弁護士は「船頭への報告は義務付けていた。報告がなく、180度も回転する例は知り得なかった」と反論した。



 ■訓練不十分「なぜ」 遺族傍聴

 2011年8月に浜松市天竜区の天竜川で起きた川下り船転覆事故の初公判では、犠牲になった5人のうち愛知県豊橋市のダンス講師の女性=当時(67)=のめい=名古屋市緑区=が、女性の息子2人とともに傍聴席最前列で審理に耳を傾けた。

 傍聴後、報道陣の取材に応じためいは「(検察側の証人として出廷した)元船頭の話を聞き、川の状況に対応するための船頭たちへの指導があまりなかった印象を受けた」と話した。

 亡くなった女性の写真とともに裁判を見守っためいは「なぜ指導をしっかりと受けていない人が船頭をしていたのか。運営会社としての責任があまりにもずさん」と険しい表情を見せた。

 天竜浜名湖鉄道の植田基靖社長も法廷に足を運び「何度おわびしてもし切れない。必ずしかるべき立場の者が毎回傍聴する」などと述べた。

静岡新聞社

最終更新:9月22日(木)8時15分

@S[アットエス] by 静岡新聞