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ヤクルト退団浮上で 巨人はバレンティンにも手を出すのか

日刊ゲンダイDIGITAL 9月22日(木)9時26分配信

 ヤクルトの主砲を巡って水面下で綱引きが始まりそうだ。13年にシーズン60本塁打のプロ野球新記録を樹立したウラディミール・バレンティン(32)が今季限りでヤクルトを退団する可能性が出てきたのである。

 3年契約が切れる今季は20日現在、打率・277、96打点、31本塁打をマークしている。とはいえ、今季の年俸は3億6000万円。かつての爆発力がなくなり、打撃は波があるというのが現場の評価。何より左翼の緩慢な守備が首脳陣の間で問題視されていた。高額年俸もネックとなり、球団内には契約延長に慎重論があるという。

 ヤクルトの球団関係者によれば、本人は残留を希望しているものの、球団としては、これ以上の年俸アップや新たに複数年契約を結ぶつもりはない、というから決裂する可能性は高い。ヤクルトはFAで中日から平田を獲得したい意向がある。同じ外野手で同じ右打者のバレンティンと再契約しなければ、「ポジションを空けて待っている」という平田への口説き文句にもなる。

■東京ドームならもっと打てる

 バレンティンが退団となれば、DH制のあるパ・リーグ球団が獲得に乗り出すことが考えられるが、「いやいや、守らないといけないセだって十分あり得る。特に巨人です」と、さる球界関係者がこう言った。

「規定打席に到達したセの外国人選手の中で、バレンティンの成績は群を抜いている。波があるといっても、打点はトップの筒香に6点差の4位、本塁打は3位。ヤクルトには資金の問題があるが、巨人からすれば年俸3億6000万円は決して高くはない。巨人の同じレフトを守る助っ人のギャレットは打率・254、59打点、22本塁打。走れない、捕れない、投げられないの『3ない』守備力は2人ともいい勝負。バレンティンは30本塁打以上100打点をクリアできることを証明しているし、狭い東京ドームならもっと量産できると見る専門家もいる。ヤクルトの関係者の中には『どうせ巨人が取りに行くんじゃないの』と見ている人もいます」

 2年連続でV逸した巨人は、今年も深刻な貧打に泣かされた。もちろん大砲は欲しいが、ギャレットの年俸も3億円。マジメな性格で研究熱心なだけに、来季も残留が濃厚だという。同じポジションで高額年俸の助っ人を何人も抱えるなんて、さすがに不経済ではないか、なんて指摘はこの球団においてはヤボである。

■CSで中日に惨敗で「大補強」敢行

 巨人は今季、総勢13人もの外国人を在籍させた。外からも国内他球団からも助っ人をかき集め、ポジションがかぶろうが、「競争」の一言で片付ける。巨人の球団関係者は「今年のオフはなりふり構わない年。07年オフに似ている」と指摘する。

 07年とはFAで獲得した小笠原を中心に5年ぶりにリーグ優勝を奪回した年である。それなのに、大補強を敢行した。初めて開催されたクライマックスシリーズ(CS)で中日に惨敗したからだ。日本シリーズに出られなかったことで、当時の渡辺恒雄球団会長が大爆発。不振だった外国人補強について「こんなバカな状況で補強しないでいられるか。オレは十何年、言い続けているが、ロクな外国人がいない。クロマティ、ちょっとローズとペタジーニぐらい。全部間違っている。それが分からねえ、フロントがどうかしてるわな。だから負けるべくして負けるんだよ。これを教訓にして来年、生かせないようなら、巨人はおしまいだな」とブチまけた。

 慌てた球団はヤクルトからラミレスとグライシンガーを、横浜からクルーンを獲得した。前出の巨人関係者が続ける。

「主砲とエースと抑えの外国人を同じセのBクラスのチームから同時に引き抜くという荒業だったが、結果としてラミレスは移籍元年から2年連続MVP。最初の3年間で打点王2度、首位打者、本塁王を獲得して4番に君臨した。08年はグライシンガーが最多勝、クルーンもセーブ王。1年目に3人が全員タイトルを取る活躍を見せられては、内外から批判されようが味をしめます。この3人は08、09年までのリーグV3をチームの根幹で支えた。だから今でも他球団の主力助っ人は、毎年有力候補に挙がるんです」

 確かに今年はあの時に似ている。当時の球団会長で現・読売新聞グループ本社代表取締役の渡辺主筆が夏場に「やっぱりこれは由伸(高橋監督)の責任じゃないからな。フロントだよ。補強してないんだから。こんな補強せずに、今の陣容で勝てったって無理」と同じような苦言を呈している。

 今季のチーム総得点はリーグ5位の489。広島は670。およそ200点も少なくては、勝てるはずなどない。

 来日6年で通算185本塁打を記録しているバレンティンなら、計算できるし、手っ取り早い――。切羽詰まった巨人が補強において何でもやることは、歴史が証明している。

最終更新:9月22日(木)9時26分

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