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成田空港、「空の日フェスティバル2016」でボーイング 787-8型機と綱引きなど実施

Impress Watch 9月22日(木)17時57分配信

 成田国際空港は9月19日、毎年恒例となった「空の日フェスティバル2016」を開催した。誰でも入場可能な中央広場でのイベントも実施されたが、本稿では、成田空港のWebサイト上で事前に募集され、抽選で参加できるジェット機との綱引き大会と、空港用化学消防車見学ツアーをリポートする。

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■ジェット機との綱引き大会&空港見学ツアー

 毎年好評のツアーで、空港の普段見ることのできない場所の見学、ジェット機との綱引き、航空機格納庫内でのイベントといったプログラムとなっている。対象は小学生で、小学生1~2名と保護者1名のグループでの応募となり、今回は、126組304名(小学生178名、保護者126名)が参加した。

 参加者は数組に分かれてバスに乗車し、空港中央広場~貨物地区~A滑走路周辺~花時計と見学。整備地区のANA(全日本空輸)ハンガー前で実施される綱引き会場へと到着した。参加者が整列する目の前にはすでに、綱引きで対決するボーイング 787-8型機が鎮座し、太い綱を伸ばして参加者の挑戦を待っている。

 綱引き大会の開催にあたり、ANA成田空港支店 副支店長の丸山晴久氏が「待ちに待った空の日。あいにくの曇り空ですが、ジェット機との綱引きをする日がやってきました」と挨拶。参加している小学生たちに「ボーイング787は今、日本の航空会社で、最も新しい飛行機です。この飛行機は、どれくらいの重さか知っている人はいますか?」と問いかけると、「ハイ!」という元気な声と共に手が挙がった。

 小学6年生の男子が「160トンくらい」と答えると、丸山氏も「なんで知ってるんですか?」と驚きながら、「だいたい160から200トン。クルマで例えると150~200台くらい。これを今から綱引きしてもらいます」と、飛行機を引くことの大変さをアピール。さらに、「力と気持ちを一つにしないと、きっと動きません。皆さんの気持ちを一つにしたいと思います」と、参加者同士で手をつないでもらい「エイ、エイ、オー!」と気合いを入れ、これから始まる挑戦を盛り上げた。

 続いて、ANAスタッフのチアリーディングチーム「SUPER FLYERS」が登場。パフォーマンスを披露し、参加者を応援した。いよいよ、綱引きの時間となり、ボーイング 787型機から伸びる綱に各チームが移動する。前輪は、トーイングバーを介して、後輪は左右に1本ずつ、直接綱が結ばれている。3本の綱にそれぞれ参加者たちがスタンバイ。まずは、小学生のみが綱を引き、保護者は応援に回った。

「それでは、スタート!」と合図があり、小学生178名は必死で綱を引くが、機体は動く気配がない。2回挑戦するが、1mmたりとも動かなかった。続いて大人も加わり、総勢304名でチャレンジとなった。

 スタートの合図で、一斉に縄がピンと張る。さすが大人の力だけあり、小学生だけで挑戦したときよりも、縄のテンションが高いようだ。何度か気合いを入れ直しながら綱を引くと、タイヤがわずかに動いた。気を抜かず綱を引き続けると、徐々にタイヤが回り始める。その勢いのまま引き続け、重い機体が人が歩く速さほどまで加速していった。最終的には25mほど移動。「そこまで!」の合図で綱を離し、一息ついた参加者たちから、自然と拍手がわき起こった。

 今年初めて参加したという飛行機好きの小学生は、「最初は動くと思わなかった」「動いたときはびっくりした」と興奮気味だった。保護者として参加した母親も、「みんなでやれば、あんなに動くんですね」と驚いた様子だった。最後は参加者全員で万歳をし、健闘をたたえ合った。

■空港用化学消防車見学ツアー

 2015年に好評だったツアーで、今年は、6月から導入されたHRET(高位置対応伸展型放水銃)を装備した空港用化学消防車を間近で見学できるのが特徴。129組344名の応募のなかから、26組78名が参加(大人45名、子ども33名)。このツアーは綱引きと違って、大人だけのグループでの応募も可となっている。

 バス2台に分乗した参加者たちが、A滑走路の脇、花時計の近くにある消防西分遣所に到着した。ガレージでは、2016年6月1日に配備されたばかりの新型化学消防車が参加者たちを出迎えた。

 この新型車両は、多くの空港や自衛隊などで導入されている米・Oshkosh(オシュコシュ)製の「ストライカー 6×6」がベース。全長12.36m、全幅3.10m、全高3.80m、総重量3万4885㎏。水積載容量は1万500リットル、薬液積載容量は880リットル、粉末消火剤220kg。最大の特徴は、国内の空港で初となる高位置対応伸展型放水銃「HRET(エイチレット)」が装備されていることだ。この西分遣所には、2台導入されたうちの1台が配備されている。

 参加者に空港消防の仕事について「毎日、25名体制で交代しながら、365日飛行機の運航を見守っています」と説明するのは、NAAセーフティーサポート(NAFS)警備消防センターの泉谷佳輝氏。この西分遣所は目の前にあるA滑走路を管轄しており、化学消防車が2台配備されている。この西分遣所と同様に、化学消防車はB滑走路の東分遣所にも2台、空港敷地のほぼ中央にある暫定待機所にも1台の合計5台が配備、そして予備車が1台あるという。ほかに、救助する車両、薬品を積載している車両、指揮をする車両など、成田空港では17台の車両を所有している。

 泉谷氏はまた、「毎日700回ほどの離着陸があり、航空機のパイロットと管制官のやりとりを無線で聞き、異常がないかを判断している。消防の仕事は、未然に防ぐということの方が多い。私たちが活躍するということは、とんでもないことが起きているということなので、活躍しないことを願って、ずっと見守る仕事でいたい」と語った。

 ガレージでは、新型化学消防車の乗車体験(運転席に座って写真撮影などできる)や、特殊防火衣の着用体験、消火器を使った消火体験などで、参加者が楽しんだ。乗車体験では長い列ができたが、ひととおり参加者の乗車が終わると、いよいよ化学消防車による放水のデモンストレーションとなった。

 ガレージから新型化学消防車のストライカーが出庫し、2015年まで主力だった化学消防車(ローゼンバウアー製のパンター)と並ぶ。まずは、パンターの放水からスタート。5秒前から、参加者が声を揃えてカウントダウン。「……3、2、1、0!」の声と同時に、パンターの上部、前部の2門の放水銃(タレットノズル)から、勢いよく放水された。

 上空に向かって勢いよく放水された水は風にあおられ、ちょうど参加者のいる場所に降り注いだ。突然のアクシデントに、はしゃぐ子供たちと逃げ惑う大人たち。参加者は身を以て、放水銃の性能を知ったようだ。

 気を取り直して、続いて新型化学消防車の放水となる。放水の前に、改めてHRETの説明があった。HRETは、伸縮するアームの先端に放水銃が付いており、車両(操作員)から、かなり前方または高低位置からの放水が可能となっている。放水銃には、カメラと、熱を感知もできる赤外線カメラが装備されており、モニタを見ながら遠隔操作をすることが可能となっている。また、クイのような鋭い装置があり、この「穿孔ノズル」を機体に貫通させて、燃焼している航空機を内部から消火できるようになっている。

 新型化学消防車の放水はさすがに2回目とあって、参加者は少し離れた場所へ退避したり、傘を差したりと自衛策をとってカウントダウンを開始。先程のパンターの放水では、上に向かって放水すると、どんどん水が広がっていったが、HRETで高い位置から放水するとあまり広がらず、水が直進していく感じだった。高位置からの放水は「ハイアタックポジション」と呼ばれ、最大15.2mの高さから放水が可能。逆に低い位置「ローアタックポジション」は、風の影響を受けずに消火活動ができるという。

 最後に、穿孔ノズルからの放水となった。穿孔ノズル先端には無数の穴が空いており、そこから広い範囲に放水される。放水銃のように狙った場所に届くように放水するのではなく、貫通した機内に水を散布するような放水だ。風にあおられて降り注ぐ水も、細かい霧のカーテンのようで、子供たちも水を浴びてテンションが上がっていた。

■ハンガー内イベント

 ジェット機との綱引き大会&空港見学ツアーでは、ANAハンガー前で行なわれた綱引きのあと、ハンガー内でさまざまな体験ができるイベントが開催された。コンテナの中に綺麗にダンボールを積み込む貨物積み込み体験、マーシャラー体験、CA(客室乗務員)のスカーフ巻き体験など。

 なかでも盛り上がっていたのは、ライフベスト着用体験。普段、飛行機を利用する際、映像やイラストでしか見ない“膨らませる方法”を体験する。つまり実際に膨らませるのだ。エアバッグのようにボンっと膨らむのではなく、シューッとゆっくり膨らんでいく様子に、ライフベストを着用した子供も、それを見ていた保護者も「こんな風になるんだ!」と、楽しそうだった。

 ハンガー入口には、トーイングカーやベルトローダーといった空港内で働く車が展示され、運転席に座ったり、ベルトローダーのベルトを歩いたりと、なかなかなできない貴重な体験を参加者が楽しんでいた。

 ハンガー内イベントは時間に余裕もあり、先ほど綱引きをしたボーイング 787-8型機も近くにあるということで、機体に触れてみたり、近くで写真を撮ったりする参加者も数多くいた。

トラベル Watch,政木 桂

最終更新:9月22日(木)17時57分

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