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<国立科学博物館>日本人祖先の航海再現 沖縄ルート検証へ

毎日新聞 9月22日(木)11時10分配信

 国立科学博物館などは、我々の祖先が大陸から日本列島に渡った「沖縄ルート」を科学的に検証するため、航海再現に取り組んでいる。今夏は沖縄の海で、草舟の性能などを確かめる実験をし、海況が良ければ航行可能との手応えも得た。2年後の実現を目指す。

 今生きている「ホモ・サピエンス(新人)」は、DNAや頭骨の解析などから、約20万年前にアフリカで誕生し、世界中に広がったとみられる。では、大陸から日本列島にはどのように来たのか。国立科学博物館の海部陽介・人類史研究グループ長によると、経路は当時の地形や遺跡の位置などから「北海道ルート」と「対馬ルート」、そして再現を目指す「沖縄ルート」と推測される。大陸と陸続きだった台湾から琉球列島に渡るのは、流れの強い黒潮を横切って百数十キロを航海する必要がある最難関。「どれほどの困難を乗り越えたのか、科学に基づいて検証したい」と、海部さんらは今年、航海再現プロジェクトを開始した。

 今夏は、与那国島-西表島間(約75キロ)の実験航海に挑んだ。当時の技術に徹するため、与那国島に自生するヒメガマをトウツルモドキのつるを裂いて縛り、手こぎの7人乗り草舟を製作した。台風などによる高波と強風を避け、スケジュール最終日の7月17日朝に東南東を目指して出発したが、それでも強い潮で北に流された。結局は大半を伴走船でえい航し、人力では到達できなかった。海上保安庁のデータなどによると、この海域で時速3.7キロ以上の強い流れがあった。

 ただ、7月の平均は同1.8キロ未満。海流の影響を受けない場合、全地球測位システム(GPS)の記録から割り出した草舟の速度は同3.5キロで、海部さんは「海が静かなら人力で行ける」と話す。

 さらに、草舟よりスピードが出る舟を造れば実現性は高まり、次は台湾東海岸に豊富に自生する竹を使うことを検討する。また、丸木舟も考える。製作道具の石製おのが台湾や沖縄にある旧石器時代の遺跡で見つかっていないが、祖先が何らかの方法で丸木舟を造っていた可能性はある。

 そもそも、祖先がなぜ危険な海に出たのか。「大陸の集団から追い出されたり、飢饉(ききん)などで暮らせなくなったりしたから」との仮説がある。だが今回の航海で、追い詰められた状態で海を渡れるものではないことが分かった。小さな舟で渡るには、余裕をもって最適な海況を選ぶ必要があるからだ。プロジェクトメンバーは「自らの意思で新天地を求めて出航した」との見方を強めているが、海況をどう把握したのかとの疑問は残る。同館などは2018年夏に台湾-与那国島間の航海再現を目指しており、海部さんは「教訓を生かして黒潮越えの謎に挑む」と話す。【大場あい】

最終更新:9月22日(木)11時10分

毎日新聞

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