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「わたらせ渓谷鉄道」土木遺産に 群馬県内12件目、県境越す施設は関東初

産経新聞 9月22日(木)7時55分配信

 土木学会(東京都新宿区)は、現存する歴史的な土木構造物を顕彰する平成28年度の土木学会選奨土木遺産に、桐生市と栃木県日光市を結ぶ「わたらせ渓谷鉄道」とそれを支える橋やトンネルなど14施設を認定した。県内では12件目で、県境を越える施設の認定は関東で初めて。同鉄道では今後、認定を記念したモニターツアーを実施するなどPRを図る。 

 今回認定されたのは、100年以上の歴史を持つ「わたらせ渓谷鉄道」と同鉄道が通る橋やトンネル、駅舎の計14施設。渡良瀬川にかかるイギリス製の橋「第一松木川橋梁(きょうりょう)」(栃木県日光市)や土砂・雨水が鉄道に入らないよう渡良瀬川に流す役割を持つ「手振山架樋」(みどり市)のほか、昔の面影が残る上神梅(かみかんばい)駅、神戸(ごうど)駅などが含まれる。

 桐生土木事務所の松岡利一所長によると、「絹に続いて当時の日本の発展を担った足尾銅山を物流面で支え、今も運行されているという同鉄道の特徴が評価された」といい、土木学会は認定理由を「近代日本の、銅輸送の根幹を担った足尾鉄道草創期の息吹と情趣を伝える施設で、地域コミュニティーの要として継承される土木遺産」としている。

 土木遺産の認定制度は、街づくりに活用し土木遺産の救済などを目的に平成12年から始まり、県内では片品村の丸沼ダム、前橋市の敷島浄水場配水塔など11件が認定され、今回で12件目。

 県桐生みどり振興局と同鉄道では認定を記念し、トロッコわっしー号に期間限定で「祝土木遺産認定」の特製ヘッドマークを付けるほか、12月3日には、土木遺産の視点から新たな魅力を知ってもらおうと「土木遺産モニターツアー」を開催する。大間々駅-間藤(まとう)駅を往復する間、主要な土木遺産付近で減速走行し車中では学芸員が解説する。

 同鉄道の樺沢豊社長は「鉄道には当時の人間のドラマや背景が明確に残り、歴史も文化も楽しめる。認定が鉄道を支援していくきっかけになり、また、沿線市民にも『身近にこんなにいいものがあるんだ』と思うきっかけになってもらえれば」と話している。

最終更新:9月22日(木)7時55分

産経新聞