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[時論]命を犠牲にして火災から隣人救出 28歳若者の志を忘れるな

聯合ニュース 9月22日(木)15時51分配信

【ソウル聯合ニュース】火災現場で危険を冒して隣人たちを避難させ、命を落とした一人の若者の勇気ある行動が、わたしたちの胸を打った。

 今月9日未明、ソウル市麻浦区のワンルームマンションで火災が発生すると、入居するアン・チボムさん(28)はすぐに避難して消防に通報した。そして火に包まれた建物の中へと再び駆け込んでいった。住人によると、アンさんは各部屋のチャイムを鳴らして隣人たちを起こし、火事が起きたことを知らせたという。

 そのおかげで、誰もが眠っていた時間帯だったにもかかわらず、入居者全員が無事に避難することができた。だが、アンさんは煙による窒息で意識を失い倒れているのを発見され、病院に搬送されたものの20日未明に死亡した。あきれたことに、この火災は同居する恋人から別れを切り出されたことに腹を立てた20代の男が放火したことが原因だったという。

 アンさんは声優を目指していた。自宅を離れてワンルームで暮らしていたのも、声優の試験に専念するためだった。家では口数が少なかったが、道理に反することには我慢がならない性格だった。遺族らは、アンさんが障害者のためのボランティアをしていたことを葬儀に参列した友人らに聞いて初めて知ったという。

 大事な息子を亡くした親の心情は察するに余りあるが、アンさんの両親はそんな状況でも毅然とした姿勢を失わなかった。

 母親のチョン・ヘギョンさんは、最初は火の中に再び入っていった息子を恨む気持ちがあったが、最期は「よくやった。私はあなたが本当に誇らしい」と語りかけたと明かした。報道でアンさんの行動を知った全ての国民が同じ気持ちだったことだろう。

 命さえ危うい差し迫った状況で、全くためらうことなく義のために身をささげた平凡な青年の勇気を目の当たりにし、まだ韓国社会に希望があることを感じた。母親のチョンさんは「多くの人が共に悲しんでくれて力づけられる。息子が隣人を助けてこの世を去ったことを覚えていてくれるだけで満足だ」と語った。

 アンさんの死が、私たち皆にとって自らを振り返り、共に暮らす社会の価値をあらためて確認する契機になればと思う。あわせて、他人の命を救って死亡した「義死者」への認定をはじめ、アンさんの高い志を忘れないようにするため何をすべきかを共に考えていかねばならない。アンさんのご冥福をお祈りする。

最終更新:9月22日(木)17時23分

聯合ニュース

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。