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噴火災害「繰り返さないで」 御嶽山2年、御前崎の遺族が訴え

@S[アットエス] by 静岡新聞 9月22日(木)12時30分配信

 死者58人、行方不明者5人を出した御嶽山(おんたけさん、長野、岐阜県境)の噴火から27日で2年を迎える中、犠牲になった御前崎市白羽の女性=当時(42)=の両親が、21日までに静岡新聞社の取材に応じた。女性は夫=同(41)=とともに亡くなった。両親は「尊い命が奪われる災害を繰り返さないために」と、これまでしまってきた胸の内を明かした。

 夫を婿に迎え入れ家族4人で仲良く暮らしていた。噴火の一報は、静岡市内にある夫の実家から入った。「助からないかもしれない」。夫はそう言い残し、電話は突然切れたという。御嶽山麓の長野県王滝村で2人の無事を祈り続けたが、山頂付近で変わり果てた姿で見つかった。

 多くの登山者が、噴石の直撃を受けて命を落とした。亡くなった夫婦の体にもその跡はあった。夫のリュックにはいくつも穴が開いていた。

 自宅の仏間。2人の遺影とともに1枚の写真が飾られている。登山者が、噴火直前の御嶽山頂で撮影したもので、多数の登山者に交じり夫婦が写り込んでいる。人づてに写真の存在を知り、送ってもらった。「2人の最後の姿です。警察から山頂付近で亡くなったと聞いたが、確かに山頂で亡くなったんだと知ることができた」。両親は、何度も写真を見つめた。

 御嶽山では、噴火の1カ月前から火山性地震が観測された。気象庁は注意を呼び掛けたが、「火山灰等の噴出の可能性がある」との内容で、噴火の兆候はつかめなかった。噴火警戒レベルも1(平常)のままだった。

 「もっと警戒が促されていたら。2人が亡くなったことが今でも信じられない」。女性の母(66)は言葉を詰まらせた。「日本は火山列島。静岡県内には富士山もある。噴火災害を決して風化させないでほしい」。そう訴えた。



 <メモ>御嶽山噴火災害 静岡県内の3人を含む死者58人、行方不明者5人を出した戦後最悪の噴火災害。噴火の種類は地中のマグマに熱せられた地下水が水蒸気となって噴き出す水蒸気噴火。気象庁や大学などでつくる火山観測体制に関する検討会は2015年3月、現在の科学的水準では水蒸気噴火を予測するのは困難との見解を示した一方、山頂付近での観測体制の不十分さや関係機関による意見交換の不十分さなどを課題としてまとめた。

静岡新聞社

最終更新:9月22日(木)12時30分

@S[アットエス] by 静岡新聞