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首相国連演説 対中朝、反応鈍い国際社会に“喝”

産経新聞 9月22日(木)7時55分配信

 北朝鮮の核・ミサイル開発は日本にとって死活的脅威だが、国際社会が同じ認識でいるわけではない。

 「北朝鮮の野心をくじけるか、安全保障理事会が一致して立ち向かえるか」

 安倍晋三首相は21日の国連総会一般討論演説でこう訴え、現実の脅威から目をそらす国際社会に“喝”を食らわした。

 外務省幹部は「今回の首相訪米の目的は、北朝鮮への圧力強化に向け、国際社会の空気を醸成することだ」と語る。その言葉通り、首相は米国到着後から精力的に二国間会談を重ねた。20日はオバマ米大統領と短時間会話し、新たな安保理決議の迅速な採択を目指すことを確認。英国、ウクライナ、パキスタンの首脳とも相次いで会談し、対北包囲網の構築にそれぞれ肯定的な反応を得た。

 ただ、20日に行われた国連の潘(パン)基(ギ)文(ムン)事務総長との会談は、日本側を唖(あ)然(ぜん)とさせるものだった。首相は潘氏に既存の対北制裁の抜け穴となっている中国に改善を働きかけるよう暗に求めたが、潘氏は「日本と緊密に連携したい」と述べるにとどめた。潘氏は韓国出身。母国が北朝鮮の核攻撃の脅威に直面している中での、この冷ややかな対応は首相を大いに失望させた。

 首相には、北朝鮮のリスクに安保理が迅速に対処できていないという危機感がある。安保理で拒否権を持つ中国やロシアは対北制裁決議に煮え切らない対応に終始している。

 首相は演説で、海洋の安全を脅かす中国の存在も想起させた。東・南シナ海と距離的に離れている欧州各国は、中国の軍事的脅威に目をつぶり、経済的な結びつきを強めている。首相が演説で「法の支配」を強調したのは、仲裁裁判所裁定を無視する中国の歪さを際立たせるためだ。首相は名指しを避けつつも、中国の脅威にも警鐘を鳴らした。(ニューヨーク石鍋圭)

最終更新:9月22日(木)8時7分

産経新聞