ここから本文です

洋館で味わう蓄音機の調べ レコードコレクション3000枚 横浜「山手234番館」が10周年記念コンサート

産経新聞 9月22日(木)14時31分配信

 昭和2年ごろ、横浜・山手に建てられた洋風住宅「山手234番館」(横浜市中区)で毎月1回開催されている蓄音機コンサート「蓄音器で楽しむ午後のひととき」が来月、10年の節目を迎える。コンサートの仕掛け人にして案内人を務めてきた山本久子さん(67)がこの10年を振り返った。(古川有希)

 「この古い館から往時をしのばせる音楽が流れていたら、どんなにすてきだろう」

 10年前、同館のスタッフだった山本さんが蓄音機コンサートを始めるきっかけとなったのは、こんな思いからだった。

 タンゴ好きだった親類の影響で幼少時から音楽を聴いて育った山本さん。結婚を機に仙台から横浜に移り住んでからもレコードを聴くのが至福のひとときだった。自前の蓄音機を持ち込んで来館者にレコードを聴いてもらうと好評だったことから、毎月第2土曜日の午後にコンサートを主宰することを決めた。

 「蓄音機は機械ではなく『音を出す楽器』という思いが強い」と、コンサート名はあえて「蓄音器」とした。

 平成18年9月9日に開催した初コンサートではタンゴだけを紹介したが、「不特定多数の来館者に自由に聴いていただこう」と、クラシックやポピュラーソングもラインアップに加えるように。次第に音楽愛好家が集う場所となり、「この場所で多くの人に聴いてもらいたい」とレコードや蓄音機を寄贈してくれる人も現れた。10年前は300枚ほどだったレコードのコレクションは現在、3千枚まで増えたという。

 選曲からパンフレット作製、当日の進行まで全て1人で行うコンサートの運営は決して楽ではない。10年の間には自身の病気や義母の介護にも直面したが、「選曲している時間は本当に幸せで、コンサートのおかげでつらいことも乗り越えられた」とほほえむ。

 山本さんは「何より場所に恵まれ、多くの出会いもあってここまで続けられたことに感謝しています。体力が続く限り、コンサートを続けたい」と今後にも意欲を見せる。

 同館の村上美晴館長(57)も「ここで初めて蓄音機の音を聞いたときは感動した。もっと多くの方に体感していただきたい」と呼びかける。

 10周年の記念コンサートは10月8日午後2時から。蓄音機4台を並べ、それぞれの音を聴き比べる試みも行われる。入場無料、申し込み不要(先着35人)。問い合わせは同館((電)045・625・9393、毎月第4水曜日は休館日)。

最終更新:9月22日(木)14時31分

産経新聞