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職業生かす社会貢献「プロボノ」を人材育成に活用する企業が増えている

産経新聞 9月22日(木)19時45分配信

 職業上の専門知識やスキルを生かした社会貢献活動「プロボノ」を、社員の人材育成策に導入する企業が相次いでいる。NPO法人支援など、ビジネス以外の場で職能経験を積むことができるのが魅力だ。社員のスキルアップにつながるとして、注目が集まりつつある。

 「視覚障害者サッカー支援へ戦略立案」「絶滅危惧野菜の存続に向けカリキュラムづくり」-。

 人材サービス会社のインテリジェンスは今月から、社員が仕事上のスキルを使ってNPO法人の活動を支援する「プロボノ」形式の人事研修を本格的に始めた。

 引きこもりの就労支援や絶滅危惧野菜のプロデュースなど、7つのNPO法人を支援先に選定。そこが取り組む社会課題解決に向けマーケティングや営業、新商品開発といった、プロのノウハウを提供する。

 グループ全体で希望者を募り、選考を経た20~40代の約40人が参加。3カ月間、終業後や週末など業務時間外に活動する。人事担当者は「文化の異なるNPO法人との“他流試合”の経験は仕事にも還元される」と期待する。

 プロボノは米国発祥の考え方で、2010年頃から日本でも知られるようになった。支援者の募集や仲介を行うNPO法人「サービスグラント」によると、同法人への支援登録者は東日本大震災以降に増え、現在は約3000人。関心をもつ企業も増えつつある。嵯峨生馬代表理事は「ナマの社会課題を扱うプロボノは、つくられた教材の研修よりはるかに取り組みがいがある。企業の人材育成に貢献する可能性は大きい」とみる。

 今夏は富国生命保険や大日本印刷、日本ユニシスなど異業種5社が集まるプロボノも生まれた。「マタニティーハラスメント」や子供の貧困対策に取り組むNPO法人の活動支援に5社から中堅層の社員が参加。PR活動や集客方法など具体策をNPO法人の関係者とともに練った。

 創立60周年記念事業にプロボノを選んだのは、広告会社のアサツーディ・ケイ。ブレーン(頭脳)とレンタル(貸し出し)をかけ合わせた「ブレーンタル」として8月に、NPOに限らず個人や自治体などの「悩み」を公募した。支援先に決定すれば、社員が解決策を無償で提供する。

 記念事業が目的ではあるが「ふだんの顧客とは違う層と関わることで、スキル向上やトレーニングになれば」(広報担当者)との狙いもある。

 経済のグローバル化が進む中「画一的な人材では国際競争に太刀打ちできない」という考えが日本企業にも浸透しつつある。会社の枠を出て他流試合を積む“プロボノ”への期待は裾野を広げそうだ。(滝川麻衣子)

最終更新:9月22日(木)19時45分

産経新聞