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(朝鮮日報日本語版) 領空侵犯の北無人機、韓国軍は撃墜できず

朝鮮日報日本語版 9月22日(木)9時58分配信

 木箱地雷を使った挑発行為で南北の緊張が高まった昨年8月、北朝鮮の小型無人機が江原道華川郡で軍事境界線を韓国側に5回にわたり越境し、韓国軍基地上空を飛行したが、それを撃墜できなかったことが明るみに出た。

 与党セヌリ党の李鍾明(イ・ジョンミョン)国会議員が21日、韓国軍合同参謀本部から提出を受けた資料によると、北朝鮮の無人機は昨年8月22日から24日にかけ5回にわたり、華川郡上空へと越境してきた。韓国軍は軍事境界線を約3キロメートル越境してきた無人機が韓国軍の施設を撮影していった事実を認知していたが、特別な措置を取らなかったという。韓国軍の警戒哨所(GOP)は一般的に軍事境界線の南側2キロメートルに設置されている。それを越えたということは、GOPだけでなく、後方部隊や指揮部まで偵察した可能性が高いことになる。

 北朝鮮の無人機が韓国軍の頭上を飛行した当時は、非武装地帯での木箱地雷による挑発(8月4日)で北朝鮮との緊張が高まっていた。韓国側が拡声器による放送を再開(10日)すると、北朝鮮軍は西部前線の京畿道漣川郡の拡声器に向け高射砲と直射砲を発射(20日)し、韓国軍は直ちに対応射撃を行った。また、北朝鮮の潜水艦の70%が基地を離れ、在韓米軍は多連装ロケット(MLRS)を前方へと移動した。韓米は対北朝鮮情報監視体制である「ウォッチコン」のレベルを3から2に引き上げた。南北は当時、事態を打開するため、22日に南北高官級協議を開始し、25日になって劇的に対立状態の解消で合意した。

 合同参謀本部は「当時軍事境界線の北側では無人機多数が活動しており、レーダー観測では華川郡の一部地域でのみ、軍事境界線を越境してきたことが分かった」と説明した。問題は敏感な状況下で無人機が侵犯してきたにもかかわらず、それを防ぐ手段がなかったことだ。韓国軍関係者は「越境してきた無人機は韓国軍レーダーで何とか確認できたが、一帯には重火器の搬入が制限されており、撃墜できなかった」と語った。合同参謀本部関係者は「局地防空レーダーを追加配備し、軍事境界線を越えた場合にヘリコプターやバルカン砲で撃墜する」としているが、軍内からが「事実上阻止可能な方法はなさそうだ」という声も漏れる。実際に北朝鮮の無人機は今年1月6日の4回目の核実験直後、京畿道坡州市上空へと越境してきたが、韓国軍は機関銃による警告射撃を行うにとどまり、無人機は北朝鮮側に戻った。

 韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ研究委員は「北朝鮮の無人機は非常に小型で、レーダーや肉眼で識別するのが難しい。軍事境界線付近での偵察活動は韓国軍が把握しているよりも多いと推定されるが、それを確実に察知するのは困難なのが実情だ」と指摘した。

 小型無人機を使った軍事境界線侵犯は、北朝鮮による新たな挑発手段となってきた。韓国軍は2014年に起きた北朝鮮無人機の墜落4件で北朝鮮による浸透を把握した。その後北朝鮮は頻繁に軍事境界線全域で無人機を飛ばしているが、韓国軍はそれを把握するのに苦労しているという。

 北朝鮮は無人機約300機を保有しており、第三国から民生用の無人機部品を導入し、品質を改良しているもようだ。自動航法飛行、遠隔操作による飛行が可能で、偵察だけでなく初歩的な攻撃任務も可能とされる。李議員は「北朝鮮の浸透、挑発リスクが年々知能化している」と述べた。

最終更新:9月22日(木)10時7分

朝鮮日報日本語版