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<北朝鮮内部>水害被災地で食糧価格が急騰 支援人員の犯罪を当局警戒 自殺する被災者も(写真3点)

アジアプレス・ネットワーク 9月22日(木)5時10分配信

8月末の豪雨により深刻な被害を受けた咸鏡北道の被災地では、水害復旧に動員された他地域の人員による窃盗強盗被害が発生、食糧価格も急騰して混乱が深まっていると、北朝鮮の内部の複数の取材協力者が伝えた。家族を失った住民が自殺する事件もあったという。(カン・ジウォン/ペク・チャンリョン)

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◆当局、被災者に出勤強要 家族失い自殺する人も
9月21日、被災地域の近くに住むアジアプレスの取材協力者A氏は、現在の被災地の状況を次のように報告してきた。

「家族と家を失った被災者は他人の家に同居したり、農場の宣伝室や会議室などで集団宿泊したりする状況だ。だが、当局が被災した人にも出勤を強要したため、『今、仕事ができる状況か』と反発して集団で出勤を拒否する出来事があった。9月12日には、穏城(オンソン)郡の南陽(ナミャン)労働者区では、水害で二人の子供と母親、妻を失った男性が絶望して首を吊って自殺する事件が発生した」と被害住民の状況を伝えた。


◆当局「泥棒、強盗は家族まで追放」と厳罰策
被災地には、復旧作業のために政府の命令で多くの人員が動員されているが、現地にテントを張って宿泊しているとA氏は言う。問題は、彼らによる窃盗や強盗などの犯罪被害が続出していることだ。

協力者A氏は、「水害復旧のために組織された『突撃隊』による犯罪が多発しため、当局は『窃盗、強盗行為者を出した組織の責任者は、解任して党を除名させる。犯罪を行った者は、家族全員を追放する』と強い警告を出した」と、被災地の混乱状況について述べた。


◆食糧価格二倍に急騰 交通網麻痺で流通止まる
被害の酷かった会寧(フェリョン)市と南陽では、食糧価格が急騰して住民が悲鳴を上げているという。21日、被災地域に住む取材協力者のB氏は、19日から物価が急に上がり始めたとして次のように報告した。
「現在、白米が8000ウォン、トウモロコシが2000ウォンに上がり、市場や住民たちの間で混乱が起きている。水害前の8月23日には、白米の価格が4300ウォン、トウモロコシは1050ウォンだったので、二倍近く上昇した」。(いずれも1キロ当たりの価格、以下同)

B氏によると、中国ウォンの実勢為替レートと中国製品の価格については現時点で変動はないという。ちなみに20日に両江道に住む協力者に聞いた白米価格は4200ウォン、トウモロコシは980ウォン、1中国元は1200ウォンだった。食糧価格の急騰は、被災地の品薄によるものと思われる。

その原因について協力者のB氏は「洪水で会寧市と南陽に通じるすべての道路と鉄道が破壊された状態だ。流通がストップして商人たちが保有していた食糧が枯渇したためだ。復旧完了まで、まだ相当長い時間がかかると思う。食糧価格の上昇は当分続くだろうし、それにつれて他の物価も上がるのではないか」と見解を述べた。

※19日付けの労働新聞は「水害地域である古茂山(コムサン)と茂山(ムサン)区間の鉄道が復旧、開通した」と報じたが、現地の協力者は復旧を確認していない。会寧市と南陽には東西二方向に鉄道が走っている。

※アジアプレスでは、中国の携帯電話を北朝鮮国内に搬入して連絡を取っている。

←国境の川・豆満江を挟んで右側が北朝鮮。中国側に比べ山にまったく木がないのが一目瞭然だ。無理な伐採が水害被害を大きくした。2004年6月石丸次郎撮影。

←復旧作業に投入された人民軍兵士。重機はなくつるはしとシャベルの手作業だ。2016年9月21日労働新聞より引用。

最終更新:9月22日(木)5時10分

アジアプレス・ネットワーク