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核燃料サイクル政策の曖昧さ露呈 「高速炉は維持」に疑問の声も

福井新聞ONLINE 9/22(木) 8:37配信

 政府は21日、核燃料サイクル政策の中核を担う高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)について廃炉を含め抜本的に見直す方針を決めた。高速炉開発やサイクル政策は堅持する方針だが、もんじゅに長年関わってきた県内関係者らからは、サイクル政策を未完成のまま曖昧にしてきた国の責任を問う声が上がる。

 元県原子力安全対策課長の来馬克美・福井工大教授は「高速増殖炉の開発や原子力政策は、将来を見据え長期的な視点で考えるべき国家プロジェクト。地元として足をすくわれるのは困る」と語る。「もんじゅを巡って煮え切らない状況が続いてきた。政府はもっと早く抜本的な見直し議論をすべきだった」とも感じている。

 2014年に閣議決定したエネルギー基本計画で、もんじゅは「国際的な研究拠点」と位置付けられたにもかかわらず、廃炉方向へ転換したことには「計画策定時に核燃料サイクルの総合的な議論をやってこなかったことが露呈している」と批判した。

 福井大附属国際原子力工学研究所(敦賀市)の竹田敏一特任教授・大阪大名誉教授(原子炉物理学)は、「国産高速炉技術が失われかねない」と懸念する。

 政府は廃炉の代替として実験炉「常陽」(茨城県)の活用や、フランスの研究計画への参加で高速炉研究を維持する方針だが「常陽では実証炉段階の安全性などのデータは取れない。データのない状態で、フランスが対等な共同研究に応じるか疑問だ」と指摘した。

 今夏、もんじゅの活用策を探ろうと、京都大や大阪大の高速炉の研究者を対象に研究課題を募ったところ、5大学の15人から25件の提案があった。廃炉となれば「大学としても高速炉を使った研究に課題が残される」と話した。

 一方、1997年の原子力委員会の高速増殖炉懇談会メンバーだった吉岡斉・九州大教授(科学史)は、今回の政府方針について「福島第1原発事故後の(厳しい世論にさらされている)原子力政策を少しでも原状復帰させるため、余計者のもんじゅを廃炉にしたいという認識に至った」と推測する。

 政府は軽水炉をまず第一に考え、原発から出る使用済み燃料を再処理し軽水炉で燃やす「プルサーマル」を重視しているとみる。その上で「高速炉研究の継続はリップサービスに過ぎず、最終処分場さえ決まれば最終的にはコストが高い再処理事業からも撤退するというシナリオではないか」と話す。

 NPO法人「原子力資料情報室」(東京)共同代表で、もんじゅ廃炉を提言した市民検討委員長の伴英幸氏は「核燃料サイクルを一気に止められず、激変緩和が必要なのだろう」と分析する。

 「常陽の活用やフランスとの共同研究で仕切り直しても、その先がうまくいかない。核燃料サイクルは事実上破綻している」と強調。将来的に原発の使用済み燃料は直接、最終処分する時代になるとし、「処分量そのものを減らすためにも、速やかに原子力そのものから撤退すべきだ」と語った。

福井新聞社

最終更新:9/22(木) 8:37

福井新聞ONLINE