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[記者手帳]原発、地震、無間地獄

ハンギョレ新聞 9月22日(木)7時30分配信

 韓国原爆2世患友会のハン・ジョンスン名誉会長(57)は8人兄弟の7番目として健康に生まれたが、中学生の時から原因不明の脚の痛みに苦しみはじめ、結局、20代半ばには大腿部の無菌性壊死症を発症して、両脚に人工関節を入れる手術を受けた。彼女の兄弟たちも、生まれた時は皆元気だったが、成長の過程で原因不明の病気で命を失ったか、今も不治の病を患っている。ハンさんの息子は脳性マヒ障害を持って生まれた。

 ハンさんは原爆被害者2世だ。彼女の両親は1945年8月6日、広島に原爆が落とされた際に被爆したが、幸い一命をとりとめて解放以降、故郷の慶尚南道陜川(ハプチョン)に戻ってきた。しかし、解放後に生まれたハンさんの兄弟たちと、彼らの一部の子どもは放射線にさらされていないにもかかわらず、原爆症の症状が出ている。

 原爆被害者たちが多く住んでいるため、「韓国の広島」と呼ばれる陜川には、光復後に生まれたが、その後遺症を患っている被爆2世と3世が多い。2013年慶尚南道が「原子爆弾の被害者支援条例」によって道内の原爆被害者の実態を調査した結果、解放後に生まれた被爆2世の23.4%と彼らの子供な被曝3世の13.9%から、先天性の障害または遺伝性の疾患が発見された。まだ発症していないか、発症の事実を隠している人まで含めれば、有病率はさらに上がるだろう。

 韓日政府は医学的に証明されていないとの理由で、原爆症の遺伝を認めていない。しかし、放射能に露出すれば、その後遺症が遺伝することは、今も苦しんでいる被爆2世・3世が証明している。2011年3月の日本の福島原発事故以降、福島の住民たちの間で障害を持った子供の出生率が上がるだろうと専門家らが警告するのも、このためだ。

 生まれた瞬間から、いつか死ぬという運命には誰も逆らえない。老いて死ぬ人もいれば、病や事故で死ぬ人もいる。自ら生命を絶つ人もいる。しかし、原爆や原発事故で放射線に露出すれば、命をとりとめたとしても、生き地獄の苦しみを味わうことになる。

 最近、原子力発電所の密集地域付近の慶州(キョンジュ)に地震が発生しており、原発の放射能流出事故の危険性が浮き彫りになっている。しかし、原発事故が発生すれば、まだ生まれていない子孫まで代々脱け出せない無限地獄に陥るだろうということは無視されている。

 1週間以上も原子力発電所周辺地域で余震が続いているにもかかわらず、「安全だ」という説明を繰り返すだけの関係当局の対応は、セウォル号事故の際に聞いた「じっとしていろ」という指示を連想させる。ありえないだろうが、電気が切れ、石器時代に戻ることがあっても、わが子と今後生まれる子孫たちを考えるなら、原発の危険性をより深刻に受け止めるべきだ。

チェ・サンウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

最終更新:9月22日(木)7時30分

ハンギョレ新聞