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社説[乳幼児期の貧困]保育所核に支援手厚く

沖縄タイムス 9/22(木) 9:20配信

 子どもの貧困対策で、乳幼児期の支援の重要性が指摘されている。成長めまぐるしいこの時期の手厚いサポートが、貧困の連鎖を断ち切る大きな力となるからだ。

 0歳から20歳までの年齢別貧困率の2004年データによると、0~2歳の貧困率が17・6%と最も高い。01年と04年の比較では、経済状況の好転で全体的に改善がみられるものの、0~2歳に限れば逆に悪化している。(子どもの貧困白書編集委員会編「子どもの貧困白書」)

 親の年齢が若いこと、子どもに手がかかるため働く時間が制限されるなどの貧困リスクがあるのだろう。しかし問題は「人生最初の不利」に対する公的支援の少なさである。

 経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、日本の教育への公的支出が最低水準にあることはよく知られている。中でも大きく見劣りしているのが、就学前と大学期の支援で、その負担が家計に重くのしかかる。

 今月11日、与那原町で開かれた「沖縄の子どもの貧困を考える本島縦断キャラバン」で講演した中村強士・日本福祉大学准教授は「乳幼児期の貧困は、ほかのどの年代よりも、その後の人生に悪影響を及ぼす点で深刻」と強調した。

 就学前教育への投資が、就学期や卒業後の投資に比べて効果が高いという検証結果を例に、保育所の果たす役割の重要性に触れた。

 身近な保育所を貧困対策の「最初の砦(とりで)」にしようとの提案だ。

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 中村さんは、保育所に新たに専門職の保育ソーシャルワーカーを置き、「福祉の総合窓口」とする必要性を訴える。

 学校などで教育と福祉をつなぐスクールソーシャルワーカーのように、乳幼児を取り巻く環境に焦点を当て、親を支援することができれば、「人生最初の不利」を減らすことができる。

 キャラバンでは、就学前の子育て家庭を支援する、糸満市の「子育て応援隊NPOいっぽ」の玉城米子さんが、困難を抱える家庭の実態を把握し、利用できるサービスへとつなぎ、継続支援している事例を報告。「保育所で対象の子に多く関わるなどして、保護者に安心してもらうようにした」「真剣に耳を傾ければ、お母さんたちは安心し、子どもも伸び伸びと育っていく」と語った。

 ソーシャルワーク的な取り組みとして注目したい。

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 県子どもの貧困対策計画は、保育所において「保護者の養育力の向上に資するなど、適切に支援を行う」ことをうたっている。

 だが、貧困対策支援員やスクールソーシャルワーカーによる支援強化を打ち出す小中学生期、大学進学者に対する給付型奨学金の新設などと比べると、乳幼児期の支援は物足りない。 

 学齢期の対策にスムーズにつなげるためにも、保育所を核とした総合的な対策が求められる。

 人生の出発点の手厚い支援を、子どもの貧困対策の新たな視座とすべきだ。

最終更新:9/22(木) 9:20

沖縄タイムス