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日銀は短期決戦から撤退、名称変更のみで事実上テーパリングの見方も

Bloomberg 9月21日(水)21時7分配信

日本銀行はマネーの量を操作目標としてきた金融政策から、長短の金利差(イールドカーブ)を操作目標とする枠組み(イールドカーブ・コントロール)に転換した。枠組みの名称は変更したものの、これまでの短期決戦からの撤退であり、事実上のテーパリング(国債買い入れの縮小)との見方も出ている。

日銀はこれまで、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の下で、長期国債の保有額が年間約80兆円ペースで増えるよう買い入れを行ってきた。21日の金融政策決定会合後に会見した黒田東彦総裁は、新しい金融緩和の枠組みはイールドカーブ・コントロールなので、「今後ともずっと何か固定するということではなくて、実際の買い入れ額は上下、変動することにはなる」と語った。

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは同日付のリポートで、枠組みの変更は量から金利に政策運営の軸足を移動させるものであり、「2%達成に向けた『短期決戦』から撤退したことを日銀自身が事実上認めるものと解釈できるかもしれない」と指摘。いかに新しい体裁を強調しようとも、はっきりとした政策効果は期待しにくく、「政策の手詰まりをあらためて印象付けるものだった」という。

実質的なゼロ回答

ブルームバーグがエコノミスト43人を対象に7-12日に実施した調査で、今会合の追加緩和予想が23人(54%)と過半数に達し、緩和予想の23人は手段(複数回答)としてマイナス金利拡大(14人、61%)と長期国債買い入れ増(13人、57%)を挙げていた。

新しい枠組みでは従来の量、質、金利という3次元の大枠を維持した上で、イールドカーブの過度な低下、フラット化を回避するための技術的措置が新たに追加された。第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは「実質的な『ゼロ回答』だが、緩和パッケージの名称を変更することで『現状維持』と発表することを避ける狙いがあったのだろう」と指摘する。

市場が予想した緩和措置がいずれも見送られたにもかかわらず、発表直後に円安・株高で反応したことについて、藤代氏は「金融株下落につながるマイナス金利の深掘りが見送られたほか、フォワードガイダンスが強化されテーパリング懸念が払しょくされたことが大きい」という。

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最終更新:9月21日(水)21時7分

Bloomberg