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経産省が下請けいじめ禁止、これで悪しき商習慣は変わるのか?

THE PAGE 9月23日(金)13時1分配信

 経済産業省が大企業と下請け企業の取引条件の改善に乗り出しました。不当な値引き要求などを防止し、下請けの中小企業が賃上げしやすい環境を整備します。

「低所得層」とは、どのくらいの収入の人たちのことなのか

戦後も続く日本の産業の重層構造

 日本の産業界の多くは、元請けとなる大企業と下請けの中小企業という階層構造になっています。戦前の日本は諸外国と同様、ここまでの重層構造ではありませんでしたが、太平洋戦争中の軍部による産業統制の結果、現在のような産業構造が出来上がり、戦後もこの形態が温存されました。

 高度成長の時代には皆がそれなりの利益を上げることができたのであまり問題にはなりませんでしたが、日本経済の相対的な付加価値が低下するにつれて、コストを下請けに押し付けるなど、元請け企業の利益確保の手段として使われるようになってきました。

 経産省では、下請け企業に対して、一律の値引きを要求したり、支払い条件を過剰に悪くするといった行為が発生しないよう法的な環境を整備します。具体的には下請代金法の運用強化、下請中小企業振興法の基準改正などを想定しており、違反企業については社名を公表するほか、公正取引委員会による取り締まりの対象とします。

 一連の施策については、まず自動車産業を対象に実施されます。経産省の動きを受けて日本自動車工業界では、取引条件を改善するための、行動計画を作成するとしています。

とても先進国とは思えないような商習慣

 下請け企業と大企業との取引現場では、期間の長い手形でしか代金を支払わないなど、とても先進国とは思えないような商習慣が横行しているというのが実態ですから、経産省の取組みは方向性としては正しいものといってよいでしょう。

 しかし、本来であれば、このような商習慣の是正は、国家が強制するのではなく、市場メカニズムの中で自然に行われるべきものです。日本の産業界でこうした自浄作用が起こらないのは、日本企業が生み出す付加価値が相対的に低下しており、日本が貧しくなっていることと密接な関係があります。

 例えば好調な経済が続いていたドイツでは、昨年まで法定最低賃金が存在していませんでしたが、賃金は日本よりも圧倒的に高く推移してきました。また日本と比較して中小企業の利益率が高く大企業に対する交渉力を持っています。これはドイツの産業界全体が、高品質な物作りによって、高い付加価値を生み出しているからこそ実現できることです。

 不当な商習慣を根本から改善するためには、競争環境を整備し、経済全体が高い付加価値を生み出せるよう努力していかなければならないでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:9月23日(金)13時44分

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