ここから本文です

応急治療薬が5倍以上 米国で薬の大幅値上げに反発広がる

日刊ゲンダイDIGITAL 9月23日(金)9時26分配信

コラム【シェリーめぐみ「ニューヨークからお届けします」】

 エピペン(Epipen)は、急性アレルギーの応急治療薬としてピーナツアレルギーの子供たちなどが常時携帯している注射薬。呼吸困難などに陥った場合、太ももに注射することで応急措置が取れ、命が救われます。このエピペンの大幅な値上げに対し、患者や家族のみならず社会的に大きな反発が広がっています。

 2007年には、エピペンの価格は1パック57ドル。ところが、9年後の現在は2パック入り600ドルと5倍以上に上昇。競合がないため、エピペンを使うしかない患者は大きな負担を強いられます。

 以前もお伝えしたように、アメリカでは03年の法改正で、製薬会社が処方薬の価格を自由に設定できるようになりました。その結果、薬価は急激に上昇。数倍に値上がりしたものも少なくありません。しかしこうした薬品は保険でカバーされているために、値上げが表立って取り沙汰されることもありませんでした。

 ところが10年の新健康保険法(オバマケア)以降、保険料が低く自己負担額が高い保険に加入する人が増えたために、この問題が急浮上したのです。さらに今回は、エピペンを製造販売する「マイラン」の株価が急落する現象まで生まれました。

 これを受けて「マイラン」では、自己負担の患者に対して半額ディスカウントを決定しましたが、世論は収まらない。そこで「エピペンと内容も効果も全く同じ」というジェネリック薬を自ら製造、半額の300ドルで販売すると発表しました。

 当然ながら「同じ会社が全く同じものを2倍の価格で販売するなんてヘン。医療システム自体がおかしいのではないか」という声も上がり、事態は混迷の様相を見せています。

▽シェリーめぐみ/横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

最終更新:9月23日(金)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL