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IoTを重要項目に、日本の新しい省エネ技術戦略が決定

スマートジャパン 9/23(金) 6:40配信

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年9月16日、新たに改定した「省エネルギー技術戦略2016」を発表した。2030年を見据え、今後、重点的に開発を進める省エネルギー技術の領域や普及シナリオの見直しを図っている。

 省エネルギー技術戦略は2007年に発表されて以降、逐次改訂が行われている。今回の2016年版の策定に影響している近年のトピックは2つある。1つが日本の将来の電源構成目標を決める「長期エネルギー需給見通し」の中で示された最終エネルギー消費量の削減目標だ。2030年に日本の最終エネルギー消費量を、石油換算で2013年度実績比5030万kL(キロリットル)程度省エネにする方針が示されている。

 もう1つが2015年12月に開催された「COP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)」で、2020年以降の温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」が正式に採択された点だ。この中で日本は温室効果ガスの排出量を2030年までに、2013年比で26%削減するという目標値を掲げた。こちらの目標を達成するためにも、2030年に向けてあらゆる産業のエネルギー効率を大きく改善していく必要がある。

 こうした背景から、今回の省エネルギー技術戦略2016も、2030年までを見据えた戦略となっている。産業ごとに省エネの推進に貢献する重要分野をあらためて見直し、「エネルギー転換・供給」「産業」「家庭・業務」「運輸」「部門横断」の5部門において、合計14技術を注力すべき重要技術と位置付けた(図1)。

 今回の見直しで大きく変わったポイントは2つある。1つが重要技術として新たに「エネルギー転換・供給」の部門を設置した点だ。これまでは最終エネルギー消費の区分である産業部門、家庭・業務部門、運輸部門と、それらの部門を横断する技術の4項目で構成していた。しかし今回はエネルギー転換・供給段階における省エネをさらに推進するため、新たに「エネルギー転換・供給」部門を設置。その中で「高効率火力発電・次世代送配電技術」と「コージェネ・熱利用システム」を重要技術としてピックアップしている。

上流領域でも技術革新を推進

 新設の「エネルギー転換・供給」部門の中で、重要技術として特定された「高効率火力発電・次世代送配電技術」と「コージェネ・熱利用システム」で重点的に開発する技術項目は以下の通り。「効率火力発電・次世代送配電技術」では、CO2排出量の少ない高効率な次世代の火力発電設備、導入拡大が期待される再生可能エネルギー発電設備の協調制御技術、超電導技術などを活用した電力損失の少ない次世代送配電システムなどの開発に注力する。

 「コージェネ・熱利用システム」は、熱分野で省エネやエネルギーの有効活用に貢献する技術に焦点を当てた。メインとなるのは発電時に発生する熱を活用してエネルギー効率を高める「コージェネレーションシステム」のさらなる普及に向けた効率向上やコストダウンだ。この他、蓄熱や熱輸送など特定エリア内の熱利用率を向上させる技術などを重要項目として挙げている。

IoTを重要技術に

 今回の改訂の2つめのポイントが、部門横断の重要技術の1つとして新規に「革新的なエネルギーマネジメント技術」を設置した点だ。これは「IoT(Internet of Things)などの新技術、分散電源や需要機器の統合制御技術など、社会全体でエネルギーの最適利用を図る技術」と位置付けている。分散電源の導入拡大や、地域単位でのエネルギーマネジメントが進んでいるなどの背景を受け、従来の「次世代エネルギーマネジメントシステム」より広い概念でエネルギーマネジメント関連技術を包含できるようにしている。

 具体的な開発項目としては、HEMS、BEMS、CEMSなどの各種エネルギーマネジメントシステム、さまざまな設備機器からセンシングで得た情報をネットワークを通じてリアルタイムに取得・解析するといったIoT関連技術、デマンドレスポンス技術などが挙げられている。

 なお、こうした技術開発はデータ解析や各種アプリケーションなどのソフトウェア開発がメインになるとしている。また、将来エネルギーマネジメント技術は、エネルギー使用者(需要側)ではなく、サードパーティーによる新たな省エネビジネスとして利用されていく可能性も高い。そのため、技術開発の骨格は実用領域に近いものである必要があり、こうした状況に沿った技術開発支援スキームを整備することが重要になるとしている。

最終更新:9/23(金) 6:40

スマートジャパン