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町山智浩&春日太一「七人の侍」は「世界で一番模倣された映画」

映画.com 9/23(金) 15:00配信

 [映画.com ニュース] 映画評論家の町山智浩氏と映画史研究家の春日太一氏が9月22日、東京・TOHOシネマズ日本橋で行われた「午前十時の映画祭7」の特別トークイベントに出席。同映画祭内で上映される黒澤明監督作「七人の侍」(1954)4Kデジタルリマスター版をテーマに、2人が映画談義に花を咲かせた。

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 数多くの傑出した黒澤監督作品のなかでも、特に世界中の映画人に影響を与えた代表作。戦国時代のある貧しい農村を舞台に、農民たちを野武士から守るため結集した“七人の侍”の戦いを描いた。今回の4Kデジタルリマスター版は、映像、音質ともに最新技術を駆使し可能な限りクリアに修復されている。

 2人は今作を「世界で一番模倣された映画」と評す。町山氏は、襲来者に対し7人の人間が結束する筋書きに触れたうえで、「(版権を買い取った正統リメイク)『荒野の七人』はもちろん、『宇宙の7人』ですね。『マッドマックス2』も内容がよく似ている。中国やベトナム、ロシア、メキシコにもあるし、全世界でこのパターンは作られているんです」と説明。そして「ピクサーの『バグズ・ライフ』もそう。襲われているアリが助けを求め戦う。完全に『七人の侍』です」と明かすと、春日氏は「『ジョーズ』もそうじゃないかと。わけのわからない敵に対抗するため、3人ですが仲間を集めて戦う。このやり方は『七人の侍』的ですよね」と話した。

 さらに町山氏は、セリフの音質に言及。自身が1970年代に初鑑賞した際を振り返り、「セリフが聞きづらいというのは大ショックだった。テレビだと聞きとれるかと思ったら、まったく聞きとれない。だからシナリオ集が売れたんですよ、シナリオを読まないとセリフがわからなかった」と笑う。一方の春日氏も「当時のキネマ旬報を読むと、多くの評論家、特に黒澤否定派の人が真っ先に批判したのはセリフ。『羅生門』からずっと、黒澤監督はそれで批判され続けていた」といい、「4K版で(主役の)三船敏郎がだいぶ聞きとりやすくなりましたね。隔世の感があって、三船のセリフがわかるというのが一番嬉しかった」と目を細めた。

 続けて春日氏は、三船演じる菊千代の最期を「尻丸出しで泥に顔突っ込んで死ぬという、スターの死に方じゃないですよね(笑)」と語る。これを受け町山氏は「アンドレイ・タルコフスキーも言っていましたよ。泥だろけの三船敏郎の尻が、雨に洗われてどんどんきれいに、美しく、天使のようになっていくと」とボルテージを上げ、春日氏も「今回4K映像を見たときに、今までの映像では気づかなかったんですが、三船の肌が雨を弾いている。これをずーっとカメラを回している黒澤の感じ! やっぱりいいな~!」と唸っていた。

 「七人の侍」4Kデジタルリマスター版は、「午前十時の映画祭7」内で10月8日から上映。詳細は公式サイトに掲出されている。

最終更新:9/23(金) 15:00

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