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やっぱり“にわかカープ女子”は、批判されても仕方がないのか

ITmedia ビジネスオンライン 9月23日(金)8時7分配信

 プロ野球の広島東洋カープが25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした。全国の鯉党が久々の歓喜に浸ってから、もう間もなく2週間――。それでもまだ、今月10日の東京ドーム・巨人戦で悲願達成を果たしたときの興奮は冷めやらない。

【カープ女子は増えていくのか】

 いわゆる「カープ女子」たちも当然、同じ心境だろう。しかし昨今、このカープを応援する若い女性ファンたちの定義を巡って疑問の声を浴びせる人も少なくない。一体どういうことなのか。単刀直入に代弁すると「『カープ女子』と言われる女性ファンたちは本当にカープのことが心から好きで応援しているのか」という疑念である。

 つい先日も、こういう話を聞いた。東京在住の知人は熱血カープファン。その彼が20代前半の女性2人を連れて今季、神宮球場へヤクルト対広島戦を見に行った。女性2人は1年ほど前からカープファンになったばかりというファン歴としてはまだホヤホヤの「自称・カープ女子」。一方の知人は広島で生まれ育った50代後半のオジサンで、物心ついたころからファンになったと自負しているバリバリの鯉党だ。つまりカープファン歴も実に半世紀近くということになる。

 いざ、プレーボール。若い女性2人に囲まれ、鼻の下を伸ばし気味だった知人は早速彼女たちにカープのウンチクを語ろうと得意げに「あの○○選手っていうのはね……」「今のプレーは……」などと何度か解説し始めようとしたところ、ものの見事にすべてスルーされてしまったという。その知人は後日、このように憤慨していた。

 「一緒に行った彼女たちは野球のプレーにはほとんど興味がないんだよ。どっちが攻めていて守っているかぐらいはもちろん分かるけど、細かい野球のルールなんてまったく分かっちゃいない。単にカープをファッション感覚で応援しているだけなんだろう。カープのバッターが打ったり、ピッチャーが抑えたりするとスタンドと一緒になってワーワー騒ぐけど、細かいプレーやルールに関してはほとんど分かっていない。

 犠牲フライやスリーバント失敗、それに盗塁もよく分かっていなかった……。そういう野球のルールが分からずに、どうして自分のことを『カープ女子』と言い切れるのだろうか。本当にそれでファンなのか。理解に苦しむよ」 

●カープ女子には「にわかファン」がたくさんいる

 この言葉を聞きながら「大人気ない発言だなあ」とは思いつつも、ひょっとしたら「カープ女子の中には“にわかファン”がたくさんいるのではないか」ということが気になった。実際、ファン歴の長い鯉党、あるいはカープにそれほど興味がなくてもイチャモンを付けている人が多い。

 ネット上で“にわかカープ女子”を疑われている芸能人が何人かいる。例えば、女子フィギュアスケート選手で現在はタレントにもなっている浅田舞だ。

 愛知県名古屋市出身の彼女は五輪メダリストで人気選手の妹・真央とともに地元球団・中日ドラゴンズのファンであることを公言。2006年には真央と、そして2013年には単独でナゴヤドームの始球式に招待され、マウンドにも立っていた。2014年のレギュラーシーズン中には中日の球団公式パフォーマンスチーム「チアドラゴンズ」に1日限定で加入し、他のメンバーたちと本拠地試合において華麗で艶やかな応援も披露した経歴がある。

 ところが、それからわずか2年後のシーズン。彼女は今年の6月ごろから自身のTwitter上でカープを応援している主旨のコメントをたびたび投稿するようになった。そのころはカープがちょうど首位の座をキープし、連勝街道を走り始めたタイミング。しかもカープV翌日の9月11日にフジテレビ系列で放送されたスポーツ番組内では、広島・新井からメッセージをもらって嬉し涙を流すシーンまで見られた。

 浅田舞の言動に対し、ネット上で次のようなコメントがあった。「誰がどう考えても、世の中のカープ女子ブームに便乗しただけだ」「ここ数年Bクラスに沈む中日を見限ってカープ女子に鞍替えしたほうがこの先、名前が売れると判断したのだろう」

 彼女に対するネット上の書き込みには、ユーザーからの疑念が散見できた。しかしながら本人が特に弁明をしておらず、その真偽の程は定かではない。

●球団関係者は“にわかカープ女子”を歓迎

 もう1人は、お笑いタレント・狩野英孝の恋人として一躍有名になったモデルの加藤紗里だ。彼女は広島出身でカープのお膝元が故郷。そう考えると「カープ女子」であっても不思議ではないが、彼女もまたチームが上り調子になり始めた6月上旬ごろから自身のブログなどで、自分がカープ女子であることをアピール。「本拠地のマツダスタジアムで試合を観戦しました」といった内容を書き込んだが、それを見た多くのネットユーザーは、彼女に疑惑の目を向けている。

 芸能関係者からも「広島出身でも家族がカープファンというだけで、それまで本人はプロ野球そのものに興味もなかった。ところが今年はシーズン前半から25年ぶりのリーグ優勝の機運が高まり始めたことで、おそらく『カープ女子だった』とカミングアウトしておいたほうが得策と踏んだのだろう」と加藤サイドの“売名行為”について、このように分析する意見も出ている。

 しかし、これらはそこまで批判されるべきことなのであろうか。有名無名を問わず、にわか疑惑が向けられている自称・カープ女子たちに「節操がない」「厚顔無恥だ」などと多くの人がバッシングを浴びせる傾向について、当のカープで長らく要職に就いている球団関係者に尋ねてみた。

 「いや、我々としては“にわか”の方でもカープを応援してくれることは本当に有り難いですよ。野球のルールを今、知らなくたって別にいいじゃないですか。これから覚えていけばいいことだし、覚えなくても別に構わない。野球のルールを覚えることより、最低限の応援のルール、マナーを守ってもらえればそれでいいです。

 それから多くの芸能人の方々が『カープ女子』を名乗ってもらえるのならば、歓迎ですよ。そこから注目が集まって入り口になり、カープを知らない人が徐々にファンになっていくかもしれない。たとえ相手の方々の『便乗商法』であっても、そういうニュースが各媒体に『カープ』の名前とともに取り上げられるわけですからね。我々からすれば、冷静に見てCM効果にもつながります」

●カープブームを引き起こす術

 総じて言えば、球団側はむしろ“にわかファン”がカープファン増加の入口につながるとフレキシブルな姿勢で考えているようだ。ちなみに前出の関係者は「逆に“にわか”の方々が批判されるようになり、カープファンのハードルを高める傾向になってしまうことのほうが怖い」とも補足していた。

 球団側がストライクゾーンを広げるスタイルを貫くことがファン層を拡大し、カープブームを引き起こす術につながっていると言えるのかもしれない。

(臼北信行)

最終更新:9月23日(金)16時14分

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