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<陸上>盛山、悲運越えて栄冠 日本学生対校・女子1万 

毎日新聞 9月23日(金)12時19分配信

 ◇12年末の高校駅伝、骨折で女子大会史上初の途中棄権

 埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で今月行われた陸上の日本学生対校選手権女子1万メートルで、鹿屋体大4年の盛山鈴奈(せいやま・すずな)が初出場初優勝を果たした。鳥取中央育英高3年生だった2012年末の全国高校駅伝競走大会のレース中に左脚付け根を骨折して女子で大会史上初の途中棄権を経験。約3年のリハビリを乗り越えて栄冠をつかんだ。

 終始、棟久由貴(東京農大)にリードを許していたが、盛山は冷静に自分のペースを保つ。残り約600メートルで並ぶと「向こうは息が上がっている。いけるかもしれない」とスパート。一気に引き離し、従来の自己記録を1分近く更新する33分3秒93でフィニッシュした。個人では全国高校総体以来、人生2度目の全国大会。レース前は優勝を意識しておらず「びっくりしました。楽しく走れてうれしかった」と初々しく喜んだ。

 高校3年時の全国高校駅伝は、左脚付け根の疲労骨折を抱えて、3区(3キロ)を走った。中継点まで残り600メートルで他の選手と接触して転倒した際の衝撃で大腿(だいたい)骨が折れ、たすきをつなげなかった。

 医師に「2~3年走れない」と言われたが、「治らないけがはない」と復活を信じて大学で競技を続けると決めた。わずか5分間のジョギングができるようになったのは骨折から約1年後の大学1年秋。地道にジョギングの距離を伸ばし、大学3年秋にようやく本格的な練習を再開した。

 「高校にとって不名誉な結果を残した。汚名をすすぎたい」との思いをずっと抱いてきた。今大会は両足のかかと付近に「鳥取育英」と青い文字で書かれた高校時代のシューズを履いて結果を出し、「恩返しできた」と目を潤ませた。

 昨年まで、卒業後は地元に帰って公務員になろうと思っていた。しかし、復帰して夢が変わった。「一生走れなくなるかもしれない極限の状態まで経験し、走れることに喜びを感じている。まだまだ続けて、もっと強くなりたい」と実業団入りを目指す。【小林悠太】

最終更新:9月23日(金)12時55分

毎日新聞