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<堺3歳児虐待死>保護する機会が2度 生かせず

毎日新聞 9月23日(金)15時1分配信

 ◇児相、再度の保護検討中に…

 堺市堺区の当時3歳の常峰英智ちゃんが昨年6月、浴槽に沈められて死亡した虐待事件は、生後間もなく施設に預けられた英智ちゃんが、約2年半ぶりに親元に戻ったばかりの時期に起きた。心が安らぐはずの家庭生活が始まってわずか2カ月半の間に、両親から虐待を受けた末に亡くなった。体にはやけどやあざが約40カ所もあったが、話すのが苦手な英智ちゃんの心の声は周囲に届かなかった。

 養父でアルバイトの渉(わたる)(32)と母の美香(23)の両被告は今年7月に大阪府警に逮捕され、今月7日までに傷害致死や監禁の罪で起訴された。捜査関係者によると、渉被告は「たばこの火を押しつけたり、ライターであぶった」などと供述。英智ちゃんの頭を足で踏みつけて浴槽で溺れさせて死亡させたとされ、府警は日常的に虐待があったとみて捜査を続けている。

 美香被告は2012年7月、生後3カ月だった英智ちゃんの育児を放棄したため、堺市子ども相談所(児相)に保護された。経済的な余裕がなかったのが理由だという。

 美香被告は翌13年5月に渉被告と再婚し、その3カ月後に長女が産まれた。生活も安定し、両被告は14年秋に「長男を養育したい」と児相に相談。児相は両被告の下で十数回にわたって試験的に外泊させるなどし、半年かけて引き取り可能と判断した。児相によると、「兄妹一緒に育てたい」との希望があったという。

 英智ちゃんは昨年3月末から両被告と妹とマンションで暮らし始めた。ただ、近所の女性は「笑顔が見られず、家庭になじめていない感じだった」と明かす。

 捜査関係者によると、両被告は英智ちゃんを内側からドアを開けられない風呂場に監禁し、長女と3人で外食したこともあったという。4月20日、通い始めたばかりの保育園の職員が、顔や首にあざを見つけて児相に通告。英智ちゃんはそのまま一時保護された。

 両被告は「精神的に不安定で自分で引っかいた」「ジャングルジムから落ちて転んだ」などと説明し、法医学の専門医も「自傷行為や事故の傷の可能性もあり得る」と診断したため、一時保護は5月12日に解除された。

 だが6月1日にまた、複数のやけどの痕が見つかった。「台所の油が飛んだ」という説明に対し、児相が再び一時保護するかを検討している間に事件が起き、英智ちゃんは死亡した。

 英智ちゃんは「パパ、ママきらい」「帰りたくない」などと保育園などで口にしていたが、関係者によると、英智ちゃんは話すのが苦手で、被害申告できる状態ではなかったとみられる。保護する機会が2度もあったが、児相は「医師の診断と親の話に矛盾がなく、虐待だと断定して強制的に保護できなかった」と取材に話した。

 元児相所長の津崎哲郎・関西大客員教授(児童福祉論)は「あざが自傷か虐待か区別が難しくても、少なくとも2回目にやけどが見つかった時には迅速に保護すべきだった」と指摘した。【山田毅、宮本翔平、村田拓也】



 ◇常峰英智ちゃんが死亡するまでの経緯

2012年 4月     長男として生まれる

      7月     美香被告の育児放棄により児童相談所が一時保護。その後乳児院に

2013年 5月     美香被告が渉被告と再婚

      8月     両被告の間に長女が生まれる

2014年  秋     両被告が「養育したい」と児相に申し入れ

2015年3月末     両親の元に戻る

      4月     保育園に通い始める

      4月20日  保育園が顔の傷やあざに気付き児相に通告。児相が一時保護

      5月12日  専門医(法医学者)が傷について「事故や自傷もあり得る」と鑑定したため、児相が一時保護を解除。親元に再び戻る

      6月 1日  堺市の通告で、やけど痕を児相職員が確認し、一時保護を提案。美香被告は回答を保留

         6日  保育園に通園しなくなる

       15日未明 自宅風呂場で渉被告に後頭部を踏まれ、浴槽に4、5回押し込まれる。意識不明の重体で搬送される

        18日  死亡

最終更新:9月23日(金)15時1分

毎日新聞

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