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米大統領選・争点の現場 フロリダ州 移民問題解決へ

産経新聞 9月23日(金)7時55分配信

 ■ヒスパニック「政治力が必要」 家族引き裂くトランプ政策に危機感

 米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ(70)は「メキシコ人は強姦(ごうかん)犯だ」と決めつける暴言で移民問題を論戦の中心に据えた。トランプが8月末の演説で不法移民の強制退去を執行する新組織設置などの厳しい移民政策を発表したことで、ヒスパニック(中南米系)は家族を隔てる「壁」が築かれることに危機感を強めている。(フロリダ州オーランド 加納宏幸)=敬称略

 演説後、トランプ陣営のヒスパニック顧問団では辞任の動きが相次いだ。不法移民の市民権取得に道を開く移民制度改革へのヒスパニックの期待は大きく、家族を引き裂くような政策が発表されたことは衝撃だった。フロリダ州マイアミのキューバ系牧師、アルベルト・デルガード(69)も苦々しい思いだったが、あえて顧問団に残った。

 「トランプ氏にもっと人道的になり、引き裂かれた家族の問題にもっと敏感になってほしいからです」

 デルガードは1959年のキューバ革命後、約1万4千人の子供たちを亡命させた「ペドロパン(ピーターパン)作戦」で親元を離れて米国に渡った。強制退去で引き裂かれる家族の気持ちがよく分かる。

 共和党の予備選では移民制度改革に前向きなキューバ系のフロリダ州選出上院議員、マルコ・ルビオ(45)を推したが、民主党候補のヒラリー・クリントン(68)を勝たせれば米国で追い求めてきた「自由」が危ういと感じ、トランプ氏を支持する。

 だが、ヒスパニック社会でデルガードのような共和党支持者は少数派だ。調査機関ピュー・リサーチ・センターによる6月の調査では、ヒスパニックの支持はクリントン66%、トランプ24%で42ポイントの差があった。

 2012年大統領選でも共和党候補のミット・ロムニーはヒスパニックの約27%、黒人の約6%しか支持を得られず、共和党全国委員会は「成長と機会」プロジェクトを始め、マイノリティー(少数派)への働きかけを強めた。

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 フロリダ州中部はヒスパニック票を取り込もうとする政治勢力の主戦場だ。標的は市民権取得が必要なく登録だけで投票できる米自治領プエルトリコ出身者。島の経済危機を受け、「ディズニー・ワールド」など観光産業が集まるオーランド周辺への流入が著しい。

 ヒスパニックの定着や起業を支援する保守系の非営利組織「リブレ・イニシアチブ」はここでプエルトリコ系の戸別訪問を続けていた。上院再選を目指すルビオへの投票だけを呼びかけて反応をタブレット端末に入力。集積したデータは20年大統領選に役立てる。

 「トランプ氏の名前が出たら政策に話題を変えます。私たちの仕事は彼の大統領選ではなくルビオ氏の再選ですから」。リブレでフロリダ州を統括するコロンビア系のシーザー・グラハレス(34)はいう。

 それでもトランプは白人層の6割程度の支持を受け、ヒスパニックの人口比が全米で6番目に高い州のフロリダ州でクリントンと接戦を展開している。リベラル勢力の危機感は強い。

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 「有権者登録しませんか」。オーランドのヒスパニック向けスーパーの客にメキシコ系女性のターニャ・ラミレス(25)たちがスペイン語で話しかける。リベラル系の非営利組織「ミ・ファミリア・ボータ」の一員として、プエルトリコ出身者が多い地区でヒスパニックの投票率向上を目指す活動を続ける。

 ラミレスの両親はメキシコからの不法滞在者だったが、レーガン政権が約270万人の不法移民に法的地位を与えた1986年移民法に救われた。

 「強制退去で家族が壊れるのは悲しい。移民問題を解決するには、ヒスパニックが政治力を持つ必要がある」とラミレス。

 総人口の約18%を占め、今後も増加が予想されるヒスパニックだが、連邦議会の代表は下院約8%、上院約3%にすぎない。存在感を増すヒスパニックは、自らの意思をワシントンに届ける指導者を渇望している。

最終更新:9月23日(金)8時11分

産経新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。