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<生前退位>有識者会議設置 人選「中立」に配慮

毎日新聞 9月23日(金)22時34分配信

 政府は23日、天皇陛下の生前退位に関し、安倍晋三首相の私的諮問機関として「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の設置を発表した。来月中旬にも初会合を開き、議論を本格化させる。政府は有識者会議の提言を踏まえ、関連法案を早ければ来年の通常国会に提出する。

 有識者会議の座長には、今井尚哉首相秘書官(政務)の叔父にあたる今井敬経団連名誉会長(86)が就任する予定。首相を支える保守派には生前退位に慎重な意見が少なくないが、退位を容認する政治学者の御厨貴東京大名誉教授(65)を起用し、バランスを取った。皇室問題の専門家で固めず、「中立」に配慮した人選になっている。政府高官は「メンバーを見ただけで議論の方向性が分かる会議だと、取りまとめが難しくなる」と語った。

 有識者会議は毎回、非公開で行われ、憲法、歴史、皇室典範など複数の専門家から意見を聞いて論点を整理する。議論の内容は会合後に公表し、国民の幅広い意見を反映するよう努める。

 ただ、有識者会議が提言でどこまで踏み込めるかは見通せない。政府は、普遍的な退位の要件を定めるのが難しいとして、今回に限って退位を認める特別立法を検討しているが、報道各社の世論調査によると、将来の天皇にも退位を認める恒久的な制度改正を求める意見が優勢だ。憲法は天皇の地位は国民の総意に基づくと定めており、政府は世論に配慮する必要がある。

 2005年には小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が「女性・女系天皇の容認」を柱とする報告書をまとめたが、与野党の議論が過熱。その後、06年に秋篠宮ご夫妻に悠仁さまが誕生し、皇室典範改正は棚上げされた経緯がある。

 今井、御厨両氏以外のメンバーは、小幡純子上智大法科大学院教授(58)▽清家篤慶応義塾長(62)▽宮崎緑千葉商科大教授(58)▽山内昌之東京大名誉教授(69)--の4人。

 菅義偉官房長官は23日の記者会見で「国民の幅広い意見を反映した提言を取りまとめる活動にふさわしい。経験が豊富な方々をメンバーとして選んだ」と説明。提言の時期については「初めにスケジュールありきではなく議論の中で考えてもらう」と述べた。【田中裕之】

最終更新:9月24日(土)1時2分

毎日新聞