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PFFアワード2016、グランプリは埼玉出身の35歳・小松孝が手がけた「食卓」

映画ナタリー 9/23(金) 22:21配信

本日9月23日、第38回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)の自主映画コンペティション、「PFFアワード2016」の表彰式が東京・東京国立近代美術館フィルムセンターにて行われた。

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グランプリに輝いたのは埼玉県出身の35歳、小松孝がメガホンを取った「食卓」。小松は「今私は35歳で遅咲きですが、映画界ではまだ若いほうでしょうか。これからも精進して、世界の映画祭にも羽ばたいていきたいです」と喜びを語った。なお本作は、カナダ現地時間9月29日から行われる第35回バンクーバー国際映画祭に招待されることが決定している。

審査員を務めた沖田修一は、総評にて「自分の身の回りで面白いものを見つけて映画を作っているなと感じる作品もありましたので、がんばってほしいです」と述べる。また荻上直子は「私は15年前にここで賞をいただいたとき、本当に映画が作りたくてしょうがなかったのですが、それは現在も、15年経っても毎日映画が作りたくてしょうがなくて、きっとここにいる監督たちもずーっと映画を作りたい気持ちだと思います」と、RADWIMPSの野田洋次郎は「自分の気持ちや思いや時間を込めれば込めるほど、絶対にそこからこぼれ落ちて届いていくものがあるんじゃないかと思っています。皆さんがこれから作る作品でも、たぎる思いがこぼれててほしいなと思います」とコメントを寄せた。

そのほかの受賞結果は下記の通り。第38回PFFはこのあと京都・京都シネマ、兵庫・神戸アートビレッジセンター、愛知・愛知芸術文化センター、福岡・福岡市総合図書館にて順次開催される。詳しい日時は映画祭の公式サイトで確認を。

第38回PFF「PFFアワード2016」受賞結果
<グランプリ>
「食卓」監督:小松孝

<準グランプリ>
「花に嵐」監督:岩切一空

<審査員特別賞>
「シジフォスの地獄」監督:伊藤舜
「溶ける」監督:井樫彩
「また一緒に寝ようね」監督:首藤凜

<エンタテインメント賞(ホリプロ賞)>
「DRILL AND MESSY」監督:吉川鮎太

<ジェムストーン賞(日活賞)>
「花に嵐」監督:岩切一空

<映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)>
「また一緒に寝ようね」監督:首藤凜

<観客賞>
「ヴァニタス」監督:内山拓也

<[特別設置]日本映画ペンクラブ賞>
「花に嵐」監督:岩切一空

小松孝 コメント
実は授賞式中にほかの方の受賞結果を聞いて、友人とLINEをして「ああ、ダメだー」と言っていました。本当にうれしいです。スタッフ、キャスト、この映画に関わってくれたすべての人に感謝します。映画のモデルとなったアル中の私の父にも伝えたいです。撮影時は更生施設に入っていたので、映画を撮っていることも知らないのですが、あとで父に報告したいです。今私は35歳で遅咲きですが、映画界ではまだ若いほうでしょうか。これからも精進して、世界の映画祭にも羽ばたいていきたいです。

審査員総評
遠藤日登思 コメント
今回初めて審査に参加して、5日間フィルムセンターに通って、トークやティーチインは聞かずにただ映画だけを20作品を観ました。会場で観ていると、席の周りに監督やスタッフたちがいて、そのエネルギーがこちらに伝わってきて、ぐったりするような貴重な体験でした。この後20人の監督たちとお話しできるということなので、忌憚なくいろいろな話をしたいと思います。

沖田修一 コメント
今は技術も進歩して、いいカメラも出てきて、今の若い作り手のほうが、僕の時代よりもプレッシャーを感じるだろうなと思いました。応募作品すべて観て、閉塞感、というものは確かに感じましたが、その中で自分の居場所を見つけて、どう映画を作るか、が大事ですよね。毎年「新しいものを!」と求められてもたまったものじゃないですし(笑)。自分の身の回りで面白いものを見つけて映画を作っているなと感じる作品もありましたので、がんばってほしいです。

荻上直子 コメント
20作品を全て観た感想としては、閉塞感がいっぱい漂っていました。今の10代20代の若者はこんなに閉塞感がいっぱいなのかと、実はちょっと不安にもなりました。その中でも自由な風を吹かせていたのは「おーい、大石」という作品だったと思います。大好きな映画でした。私は15年前にここで賞をいただいたとき、本当に映画が作りたくてしょうがなかったのですが、それは現在も、15年経っても毎日映画が作りたくてしょうがなくて、きっとここにいる監督たちもずーっと映画が作りたい気持ちだと思います。

佐渡島庸平 コメント
たくさんの人を巻き込み、最後まで作り上げたことがすごいことでそれ自体が才能だと思います。あとはデビューしたり、仕事として成り立つかが問題ですが、作り続けて自分のモチベーションを保つこと、これができればいつか日の目を見ることができると思います。同じく審査員をしている監督たちに聞きましたが、完成した作品は観直すのが恥ずかしいそうです。それは、作るときに、自分のすべてをさらけ出すからです。受賞された作品は、監督が自分をさらけ出しているその度合いがほかの作品より秀でています。映画としての完成度よりも、記憶に残る、ということだと思います。

野田洋次郎 コメント
僕自身、まだまだものを作る新人というか、若手の気持ちとして、これから自分で何をやってやろう、何かこの世にないものを作ってやろうという気持ちで、きっと皆さんもいると思ったので、僕自身も同志として関わりたいと思って審査に参加しました。“映画はパンクだ”というキャッチフレーズが今年はありましたが、もっともっとはみ出ていいな、はみ出る作品があってもいいなというのは個人的に思いました。映画の体をなしてなくてもいい、これって映画なんでしょうかというものがあってもよかったのかなというのは思います。僕も音楽を作っていていつも思うことなのですが、楽器だったり機材がよかったりして、環境だったり設備をよくしていけば精度は上がるんですが、本当にお客さんが見たいものはそこじゃないんだな、とつくづく思わされました。映画であればスクリーンからどれだけのものがはみ出ているか、ということを僕はいつも知りたかったり、はみ出たところを見たかったりしています。自分の気持ちや思いや時間を込めれば込めるほど、絶対にそこからこぼれ落ちて届いていくものがあるんじゃないかと思っています。皆さんがこれから作る作品でも、たぎる思いがこぼれててほしいなと思います。グランプリ以外では「もっけのさいわい」「おーい、大石」「山村てれび氏」も大好きでした。表彰はできなかったのですが素晴らしい作品でした。本日は参加させてもらってありがとうございました。

最終更新:9/23(金) 22:21

映画ナタリー

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