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福岡市で「小商い」の部活発足へ 無理せず楽しみ、自分らしく働きたい

qBiz 西日本新聞経済電子版 9月23日(金)11時26分配信

 あくせく働いた経済成長の時代も遠くなり、停滞ムードが続く昨今。ちまたでは「小商い」という言葉が静かな広がりを見せている。いきなり脱サラして資金をつぎ込んで勝負をかけるのではなく、無理せず、楽しみながら自分の好きな「商い」を営む。そんな生き方を模索しようと、福岡市の若手会社員たちが「ふくおか小商い部」という名の会を発足させるという。いかにも“商人の町”らしい発想ではないか。

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 主宰するのは、福岡市在住の企画プランナー、下野弘樹さん(35)。博多の台所といわれる柳橋連合市場がある中央区清川地区の活性化を手掛ける下野さんは、今年3月から7月にかけて、ある仕掛けを実行に移した。

 地区にあるマンション1階のドラッグストア跡を活用し、小さな仮設の商店街を作ったのだ。題して「清川リトル商店街」。店舗当たりの面積は1坪(3・3平方メートル)で、出店料は1カ月1万5000円だった。

 5カ月間の期間限定で出店者を募ったところ、デザイナーや茶農家など20~70代の男女12人が応募。焼き芋やハンドメード雑貨、農産品販売など11店舗(うち1店は2人の共同出店)が並んだ。

 「人とのつながりができた」「新しいお客ができた」。店主たちは思い思いに手応えをつかんだ様子で、期間終了後も3人が共同出店することになった。

 下野さんは「人が生き生きとする姿を目の当たりにして、方向性が間違っていないことを確信した」という。それが「小商い部」の発想に結び付いた。

■「もうける」より自己充実を

 下野さんは、長崎市出身。九州大の学生時代を福岡市で過ごし、国際貢献に興味を持った。せわしく動く同級生を横目に、就職試験は1社も受けず、卒業後はフリーターに。3年間のアルバイトでためた資金でヨーロッパを1カ月半旅した。

 26歳で福岡に戻って就職。27歳で東京のベンチャーに転職したが、1年で事業が立ちゆかなくなった。28歳で再び福岡に戻り、企画プランナーとして独立。百貨店にエステやパラグライダーなど体験型の福袋を提案し、ヒットさせた。

 現在は、ビルの空きスペースなどの利活用も手掛ける。「清川リトル商店街」もその一つ。ビルのPR作戦としてオーナーに持ちかけたイベント企画だった。

 うまくいかないことがあっても、「同じ過ちを繰り返さないことが大事」「次の糧になる」と常に前を向くことにしている。

 そんな下野さんがずっと気になっているのが、大企業に勤める知人から聞いた、こんな言葉だ。

 「年収は上がっても、幸福度は上がらない」

 営業成績を求め、「数字」を追いかける日々。決して楽がしたいわけではない。ただ、違和感を覚えながら打ち込む仕事に、どれほどの意味があるのだろうか。

 「もうける」ことよりも、「自己充実」を目指したいと思う人の方が多いのではないだろうか。ならば、そのための「選択肢」を用意したい。下野さんは、そう考えた。

 それは、サラリーマンを追い詰める効率重視のストレス社会へのアンチテーゼでもある。

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最終更新:9月23日(金)11時26分

qBiz 西日本新聞経済電子版