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「カリブ海の真珠」取り込めるか-安倍首相、初のキューバ訪問

日刊工業新聞電子版 9/23(金) 15:46配信

日本との経済協力拡大

 安倍晋三首相が22―24日、日本の現職首相として初めてキューバを訪問している。2015年7月の米国との国交回復、3月のオバマ大統領の歴史的訪問を経て、世界のキューバへの関心は一気に高まった。安倍首相も現地を訪れることで、日本との経済協力を拡大する狙いだ。キューバは電力や道路などインフラ需要が膨大で、大手商社は市場調査に動く。しかし、足元のキューバ経済はかんばしくなく、課題も多い。(大城麻木乃、土井俊、政年佐貴恵、高橋沙世子)

対日債務は1200億円免除 足元は「エネルギー危機」

 安倍首相は今回の訪問で、返済が30年間滞っているキューバの対日債務約1800億円のうち、約1200億円を免除する方針だ。今後、残りの債務をキューバ側が定期的に支払えばキューバの信用力が高まり、中長期のインフラ開発に必要な円借款や貿易保険といった大型支援につながる可能性がある。

 現状、キューバは過去の債務問題が尾を引き、国際通貨基金(IMF)や世界銀行など国際的な金融機関に加盟していない。インフラ開発に必要な資金を十分に調達できない状況だ。近い将来、円借款の供与が実現すれば、日本企業にとってインフラ輸出の好機となる。商社など経済界は、その時を心待ちにしている。

 しかし、見通しは楽観視できない。足元のキューバ経済は「エネルギー危機」(日本貿易振興機構〈ジェトロ〉米州課の西澤裕介氏)と言われるほど悪化している。発端は14年後半以降の原油価格下落だ。これまで原油の調達を頼ってきたベネズエラが経済的に困窮。キューバへの原油の輸出を減らしてきた。

関係を改善

 その後、旧共産圏のロシアに支援を求めたと言われるが、そのロシアも油価の下落で経済は良くない。キューバを支援するほど余裕はない。これがキューバが米国をはじめ西側諸国と関係を改善するきっかけとされるが、16年7月以降、キューバのエネルギー問題はより深刻化。「一部で停電や節電が行われている」(ジェトロの西澤氏)という。

 日本から輸出した機械などの代金回収も遅れがちで「円借款の供与を日本が提案しても、キューバ側が借りたがらないのではないか」(商社関係者)との声さえ漏れる。円借款は低利の好条件だが、借金であることに変わりない。今のキューバは返せる見込みのない借金は負いたがらないという。

 キューバは国土が本州の約半分、人口が1100万人と、東京都より一回り小さい規模。日本から飛行機で半日以上かかり、アジアという人口の多い地域と比べると、決して魅力的な市場とは言えない。それでも、なぜ安倍首相はキューバを訪問するのか。ある経済団体関係者は「常任理事国入りを目指し、国連での票を集めるためでは」と指摘する。

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最終更新:9/23(金) 15:54

日刊工業新聞電子版