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冬の総合商社、なんと伊藤忠が利益トップ

ニュースソクラ 9/23(金) 16:00配信

資源価格の低迷で視界不良の経営環境

 資源市況の低迷で苦戦する総合商社の視界が晴れない。8月に出そろった2016年4~6月期連結決算では、三菱商事が最終増益を確保するなど復調の兆しもみられるものの、住友商事や丸紅などが減益を余儀なくされた。資源安の継続に加え、円高や中国の成長減速が重なって経営環境は依然厳しく、業績の本格回復に時間を要する商社もありそうだ。

 「資源価格の低迷や円高もあって経営環境は厳しい」(丸紅の矢部延弘常務執行役員)。「資源は依然、供給過剰。短期的な価格上昇は見込みにくい」(三井物産の松原圭吾・最高財務責任者)。2016年4~6月期連結決算発表では、経営環境について引き続き悲観的な見方を示す発言が相次いだ。三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅の大手5社のうち、最終増益を確保したのは三菱商事だけで、ほか4社は減益に沈んだ。

 大手商社の苦境が鮮明になったのは2016年3月期。大手商社はここ数年、新興国の成長に伴う資源バブルに踊り、資源分野への巨額投資を続けてきたが、中国経済の減速などを背景に一転、資源価格は急落し、手痛い「しっぺ返し」を食らった。三菱商事、三井物産は戦後初めて、最終赤字に転落。資源分野への依存度が低かった伊藤忠商事が業界首位に浮上するという「大事件」(商社幹部)に業界は揺れた。

 業界首位からの陥落という苦汁をなめた三菱商事は、巻き返しに躍起だ。2016年4~6月期は、2016年3月期に577億円の赤字を計上したオーストラリアの石炭事業の黒字化を果たした。効率の悪かった鉱山を閉めるなどコスト削減が奏功したという。最終利益は34.5%増の1008億円と、5社の中で最大だった。

 三井物産も、2016年4~6月期は36.9%の減益だったものの、減益幅は市場予想より小さかった。資源価格の低迷が続く中でも、もともと強みを持つ金属事業で増益を確保したことが主因だ。

 2016年3月期に最終赤字に転落した2社が奮闘する一方、遅れて資源ビジネスに手を出し、拡大戦略が失敗に終わった住友商事は引き続き、その影響から脱しきれずにいる。2016年4~6月期はニッケル鉱山事業の苦戦などで、最終利益が72.4%減と大幅に落ち込んだ。丸紅も資源安の影響に加え、巨費を投じて買収した米穀物大手ガビロンが依然振るわず、31.8%の減益だった。

 2016年3月期に業界トップに立ち、絶好調に見える伊藤忠商事も、安泰とはいえない。2016年4~6月期は最終利益が39.8%減となった。前年同期に米国の子会社売却益を計上した反動が主因で、同社は「堅調な決算」と評価するが、市場ではリスクを指摘する声もある。タイの財閥チャロン・ポカパン(CP)グループと折半で計1.2兆円を投じた中国国有複合企業、CITICだ。

 伊藤忠はCITICへの投資により、小売りや自動車、医療など幅広い分野での協業を狙うが、現時点で目覚ましい相乗効果が上がっているとは言えない。市場では、中国の政治・経済そのものの先行きさえ不透明な中、協業の成果を挙げられるのか不安視する声が出ており、今年の最大の課題となりそうだ。

 2016年3月期に一変した業界地図は今後、どうなるのか。原油など資源市況は依然不安定で、各社は浮き沈みの激しい資源分野への投資を抑制し、安定的な収益が見込める非資源分野に注力する構えだ。

 住友商事は過去に投資ファンドに売却したテレビ通販最大手のジュピターショップチャンネルを、関連会社を通じて買い戻すなど、もともと強みを持つメディア・生活関連部門への回帰を急ぐ。2017年3月期は1300億円の連結最終利益を見込むが、同部門で半分超の670億円を稼ぎ出す計画だ。三井物産もインドやマレーシアなどで病院を展開するコロンビア・アジアグループに出資するなど、ヘルスケア事業に力を入れる。

 かつての商社は、モノの売買を仲介して手数料(口銭)を稼ぐビジネスが主力だったが、現在は自ら事業に投資するビジネスが主体。価格が乱高下する資源に依存した経営からの脱却はもちろんだが、一段の成長には、非資源分野への投資で「メシのタネ」を獲得しなければならない。もちろん、投資にはリスクがつきまとう上、新たな収益源の育成には時間もかかる。各社の今後の事業戦略の成否によって、業界地図は再び大きく塗り変えられる可能性がありそうだ。

ニュースソクラ編集部

最終更新:9/23(金) 16:00

ニュースソクラ

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