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原料高の転嫁、厚板も「待ったなし」。新日鉄住金、再値上げ検討

鉄鋼新聞 9/23(金) 6:00配信

 新日鉄住金がメキシコのガスパイプラインプロジェクト向けに大径溶接鋼管(UO鋼管)と、その母材となる厚板を計60万トン受注し、9月から生産出荷を始めたことで、厚板の国内供給が今年度下期にタイト化するとの見方が出始めた。ある鉄鋼商社は先週、取引先の二三次流通に対し「厚板が短期的にタイト化する可能性があり、納期が延びる可能性もある。鋼材発注には注意が必要」と事実上、在庫手当てを促すような情勢分析をまとめ、通知した。需要の盛り上がりは足元でいまひとつだが、原料炭価格の急騰で高炉メーカーには下期大幅コストアップの危機感が強く、薄板や建材品種とともに厚板も原料高転嫁が待ったなしの状況だ。

 新日鉄住金の今回の受注量は60万トン。それだけの数量を、半年という短期間のうちに鹿島・君津の2製鉄所で生産出荷することになっており、受注余力がかなり縮小されている。
 これを背景に、足元の輸出商談では「価格優先」のスタンスで交渉に入っており、選別受注もありそうだ。韓国造船向けを含むアジア向けの輸出数量は大幅減少する見通しだが「数量に不安はないため、価格を改善して収益立て直しを図る」(関係筋)方針。
 こうした同社の販売政策や受注方針は、国内の他の厚板メーカーにも影響を与え、一定の需給改善要因となりそうだ。
 国内向け販売価格を見ると、新日鉄住金は5月から6月にかけて店売りなど市況連動要素の強い汎用分野でトン5千円の改定を表明し、浸透を図っている途上にある。「原料コスト事情を考えると、すでに打ち出した分の値上げ完全浸透は待ったなし」(関係筋)とした上で、下期に向けてヒモ付き・店売り分野での値上げの検討に入った。
 原料炭の下期決着価格を見ながら、再値上げの実施時期と値上げ幅を決めていくことになるとみられる。
 他メーカーもコスト事情は同様で「原料高コストアップの販売価格への反映は急務の課題」と受け止めている。
 なおJFEスチールの厚板稼働率は9割程度とされるが、下期には特に1~3月期中心に設備工事が予定されており、それほど生産余力があるわけではない。
 また神戸製鋼も「厚板ミルは、生産負荷が高い状況で稼働している。新日鉄住金の大径管大量受注による需給タイト影響はまだ現れていないが、今後はその可能性があり注視していく」としている。

最終更新:9/23(金) 6:00

鉄鋼新聞