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社説[高江・安波住民提訴]生活守る当然の訴えだ

沖縄タイムス 9/23(金) 7:15配信

 米軍北部訓練場のヘリパッド建設を巡り、周辺の住民33人が、国を相手に工事の差し止めを求める訴訟を那覇地裁に起こした。判決まで工事中止を求める仮処分も申し立てた。

 原告のうち31人は東村高江区、2人が国頭村安波区の住民だ。昨年運用開始された二つのヘリパッドによる騒音や低周波音が、集落での生活と住民の健康に悪影響を及ぼしていること、さらなるヘリパッド増設はこれら被害の増大を確実にするとして、工事の差し止めを求めている。

 訴状によると、ヘリパッド運用で高江区の騒音被害は明らかに悪化。運用前の2014年度に昼夜合わせ892回だった騒音は、運用後の15年度に同3451回と4倍近くに増えた。東村教育委員会には、夜間騒音により睡眠不足に陥った児童が、授業欠席を余儀なくされた事例が報告されている。

 訴状は、こうした被害にもかかわらず、いったん米軍機が訓練を始めると騒音が止まる可能性は低いと指摘。工事を差し止めるしか住民を守る手だてはないと断じる。

 背景には、普天間飛行場や嘉手納基地の爆音訴訟で被害が認定されながら、一切の飛行差し止めが認められてこなかったことがある。訓練移転による両基地の負担軽減をアピールする政府も、新たな訓練による外来機の飛来を止めようとはしない。

 米軍基地に対する政治と司法の不作為の連続は、負担軽減とほど遠い現実を沖縄につくり出している。生活を守るにはその元凶を未然に防ぐしかない、という住民の訴えは当然だ。

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 政府は、ヘリパッド完成を異様なまでに急いでいる。

 資機材運搬用の大型重機を自衛隊ヘリで搬入しただけでなく、運搬車両用道路の建設を目的とした大幅な森林伐採を進めている。

 道路の建設となれば、当初計画していた工事用モノレールと違い、県赤土等流出防止条例の対象となる可能性がある。安慶田光男副知事は、沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長に条例に基づく調査の実施と、その間の工事中断を求めた。中嶋氏は調査の受け入れを表明したものの、工事は中断しない方針だ。

 ヘリパッドが完成すれば、これまで以上の騒音や新たな被害の発生は間違いない。このままでは裁判の結論が出る前に、住民の懸念が現実になる可能性もある。

 司法の新たな不作為を避けるためにも、裁判所は早急に、工事中止の仮処分を決定すべきだ。

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 NGO「反差別国際運動(IMADR=イマダー)」はジュネーブの国連人権理事会で、高江と辺野古に関し声明を発表。民意に反した工事の強行は「人権侵害」に当たると批判している。

 国際社会のまなざしと同時に国内世論の関心を高めることが、政治の不作為への最大の対抗軸だ。

 長年やんばるの自然と共に静かに暮らしてきた住民の生活を、踏みにじるようなヘリパッド建設が認められて良いはずがない。

最終更新:9/23(金) 7:15

沖縄タイムス