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おひとり様需要が、デフレを救う?!

ZUU online 9/24(土) 6:10配信

少子高齢化や非婚化で、1人で人生を歩む人が確実に増えています。「おひとり様」時代の到来です。

2015年国勢調査では、「1人暮らし世帯(単独世帯)」は1,685万世帯となりました。世帯の類型別で32.6%と最も多く、「夫婦と子供から成る世帯(28.1%)」を前回調査に引き続き上回っています。私たちは過去に経験したことがないステージに足を踏み入れたのです。それを前提に不動産ビジネスも行う必要が出てきています。

■2035年には1人暮らし世帯が全世帯の37%にも

2015年の国勢調査の結果は、1920年に国勢調査が始まって以来、人口が初めて減少したことが大きな話題となりました。同時に、この時点で世帯数は5,188万世帯で過去最高です。1人暮らし世帯が増えたことが数を押し上げ、1世帯当たりの人数が減っているのです。

なお2010年時点で1人暮らし世帯は既に1,679万世帯あり、「夫婦と子供から成る世帯」(1,444万世帯)を上回っていました。この傾向は2005年以来続いており、10年調査をもとにした2035年推計では1,846万世帯になる見通しです。これはその時の全世帯推計(4,956万世帯)の37.2%にまで上昇することを意味します。

65歳以上がいる世帯は2015年国勢調査で2,152万世帯と世帯全体の40%を超えますが、これを類型別に見ると「単独世帯」は563万世帯、「夫婦のみ世帯」が624万世帯、「夫婦と子供から成る世帯」は311万世帯などとなっています。つまり、1人暮らし世帯(1,685万世帯)の3分の1は65歳以上で構成されていることになります。なお男女別では男性180万人、女性383万人です。65歳以上男性の8人に1人、女性の5人に1人が1人暮らしなのです。

■実は欧米では、単身世帯が普通

海外を見てみましょう。2010年のOECD調査によると、単身世帯の割合はノルウェー37.7%、フィンランド37.3%、デンマーク36.8%、そしてアメリカ・ニューヨークのマンハッタン地区では、半数以上が単身世帯です。単身世帯割合で、日本が欧米に追い付くレベルになったということです。なお、欧米では1人で亡くなっても、「孤独死」として問題になることはありません。社会の受け止めに違いがあるのでしょうか。

■<元気な高齢者>から<未婚高齢者>に時代は動いていく

1人暮らしの高齢者が増えているのは、元気な65歳以上が増えてきたからといえるでしょう。

全国6,000人の高齢者を20数年調べた秋山弘子・東京大学高齢社会総合研究機構特任教授の「長寿社会の科学と社会の構想」(2010年)によると、男性の約70%は72~74歳から、女性の約80%は69~71歳から徐々に体力が落ち、自立度が落ちてきます。しかし男性の約11%は、80代後半になっても60代後半とほとんど変わらない自立度で、通常歩く速度を10年前と比較すると、男女ともに11歳ほど若返っているそうです。

「おひとり様」の増加は、こうした高齢者の自立度が牽引してきたといえます。そして、団塊の世代(1947~1950年生まれ)以上の世代が依然として1人で元気に生活していくだろうと見られています。2030年代には「80代、90代の1人暮らし」が当たり前になり、その次には「未婚のまま高齢になる人」がメインになる時代が控えているといえるかもしれません。

■本格的「おひとり様時代」の到来

かつて2000年代前半にも、主に未婚女性を指して「おひとり様」という言葉が使われていました。今、国勢調査からうかがえるのは、性別に限らずその対象がより広くなり、女性対象だけでない新しい市場として注目せざるを得なくなっている状況です。

この市場を狙った「おひとり様向けビジネス」は、言い換えれば「中高齢者おひとり様ビジネス」といえるでしょう。ここで出てくるビジネスは、今までにない革新的、革命的な製品やサービスではありません。ファミリーや団体客などを顧客層として提供されてきた既存の製品、サービスをおひとり様用にアレンジするケースが多いようです。

その場合、二つの視点から考えるべきでしょう。

一つはダウンサイズです。既存の製品、サービスをより「個」をターゲットに小さく、シンプルにすることです。家電製品、料理などが該当するでしょう。この先は小さな街中を走るだけのコンパクトカーと、遠方へ出かける大型車に二極分化していくだろうというのもおひとり様市場に見合う例です。

またこの分野では、ベンチャービジネスが生きていける可能性も高いです。小売価格を5,000円以下に抑えた小型ジューサーミキサー、トースト1枚サイズのオーブントースター、カップ1杯用のコーヒーメーカーなど、通常より小さなサイズに絞った家電製品だけを製造販売しているベンチャーがあります。色とデザインにこだわり、量販店ではなくインテリアショップで販売することで、30代・40代から上のおひとり様市場を狙っています。

もう一つの視点は、ダウンサイズしながら付加価値を付けていくことです。1人暮らしに「こだわり」を持つ人には、付加価値を付けないと売れないからです。この中には、いくつかの製品、サービスを「集合」させ、新しい価値を加えていくものも含まれます。既存の製品やサービスのおひとり様向け「再編成」です。

住まいで言うと、3LDK・70平方メートル前後をファミリータイプと位置付けるのがこれまでの例ですが、これからは部屋数を減らして大きくした部屋をオーディオルームや趣味の部屋にして、これを「おひとり様」に仕立てた住まいが売れていくでしょう。既に、これより小さい50平方メートルクラスの部屋は、部屋数を減らして新しい用途を付加する形が採られています。

単身世帯数データの動向から、「おひとり様」向け市場の現状や今後についてみていきました。

今後、高齢者の単身世帯が増えてくるのは確実とみられます。あらゆるビジネスはこの事実と向き合い、ターゲットに即した製品・サービスを世に送りだし、需要を取り込めれば、消費活動の活性化にもつながるでしょう。不動産市場も同じです。こうした「おひとり様」向けの住居、設備、システムがますます注目され、普及することでしょう。(提供:不動産投資ジャーナル)

最終更新:9/24(土) 6:10

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