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iPhone 7/7 Plusを1週間使って感じた「進化」と「不満」

ITmedia Mobile 9/24(土) 6:25配信

 「予約数は過去最高」――3キャリアの社長が異口同音にこう述べているように、「iPhone 7」「iPhone 7 Plus」は、順調な船出となったようだ。一方で、BCNの調査結果を引く形で販売数がiPhone 6s、6s Plusと比べて42%減になったという報道もあるように、2016年のiPhoneは入荷が少なかった様子もうかがえる。販売開始の直前にはキャリアや量販店関係者が「予約がさばけるのか戦々恐々としている」と述べていたことも、これを裏付ける。

【ジェットブラックは「Dライン」が目立たない】

 カラーでいうと新色のブラックや、限定色のジェットブラックに人気が集中しており、需要と供給のミスマッチが起こっているようだ。iPhone 7/7 Plusは、日本市場に向けたカスタマイズが、それまでのシリーズよりも徹底している。FeliCaや1.5GHz帯のLTEに対応したことも、従来のiPhoneにはなかったことだ。ローカライズというわけではないが、IP67の防水(耐水)・防塵(じん)仕様も、日本市場での人気に拍車を掛けたそうだ。ここからは、好調な日本市場での足場を固めようとするAppleの思惑も見て取れる。

 では、そのiPhone 7/7 Plusは、実際どのような使い勝手なのか。両実機を借り(iPhone 7は筆者私物も)、1週間ほど使ってきた。ここでは、その実力を検証していきたい。

●大きな変化はないが、より精度の上がったデザイン

 iPhone 7/7 Plusは、2年に1回のフルモデルチェンジが慣例だったこれまでのiPhoneと異なり、iPhone 6/6 Plusからのデザインを踏襲している。ホームボタンが物理的なボタンからセンサーになったことで、正面から見たときの違いはわずかにあるが、“別物”と言わなければ見分けがつかないかもしれない。

 背面も同様に、iPhone 6s/6s Plusから大きく変わっていないが、いわゆる「Dライン」と呼ばれたアンテナ用の樹脂パーツの位置が本体上下の角にレイアウトされているため、よりすっきりした印象は受ける。残念ながら、シルバー、ゴールド、ローズゴールドに関しては本体色と樹脂部分の色に差がありすぎるため、アンテナがあることが分かってしまうが、ブラックやジェットブラックは同系色でまとめられており、より1枚板のようなそぎ落とされた印象を受けるようになった。

 また、カメラ周りの処理が変わり、iPhone 7では、より本体と一体感が出るような形状になっている。1枚板という意味ではカメラが出っ張っているのは相変わらずで残念なところだが、個人的には、iPhone 6sのころより、気にならなくなっている。一方でiPhone 7 Plusは広角と望遠、2つのカメラを搭載するようになったため、よりカメラが目立ってしまった印象だ。この部分は、デザインを重視する人にとって、気になるところといえるだろう。

 冒頭で述べたように、新色のブラックやジェットブラックに人気が集中しているが、デザイン的にはiPhone 6/6 Plusのコンセプトをキープしているだけに、そのような状況になるのも納得できる。特にiPhone 6/6 Plusを発売直後に購入し、そのまま使い続けている人は、間もなく使用期間が2年を迎える。そろそろ機種変更を……と考えていたとき、見た目の新鮮さを求めると、どうしても新色に目が行ってしまう。特に今回のブラックとジェットブラックは、アンテナの処理が従来以上によくなっているため、需要が集中するのはある意味必然といえる。

 ただし、スマートフォンの使用期間は、端末の成熟化に伴い、年々長期化する傾向にある。黎明(れいめい)期のスマートフォンに比べ性能が上がり、頻繁に買い替えずとも快適に利用できるようになったのはその一因だ。常に新しいものを求めるアーリーアダプター以外にスマートフォンが広がったのも、使用期間が伸びている理由といえる。そうした市場動向を考えると、3年にわたって同じコンセプトを使い続ける戦略も、理にかなっている。iPhone 5s、5cのユーザーにとっては、大きな変化になるからだ。

 一方で、3年という月日は長く、競合他社を見るとデザインのトレンドは刻々と変化していることも分かる。7と銘打つからには、もっとデザイン上のチャレンジも見てみたかったというのが筆者の本音だ。

●機能面は順当に進化し快適に使える

 コンセプトをキープしたデザインに対し、機能面では大きな進化も遂げている。大きなところでは、カメラやディスプレイがより美しい映像を作り出せるようになり、スピーカーもステレオになり音量が上がった。それらを支えるチップセットも「A10 Fusion」になり、iPhone 6などに搭載された「A8」に比べ、処理速度は2倍に上がっている。ベンチマークアプリでの測定結果も、それを裏づける。バッテリーの持続時間も、iPhone 6s比で7が2時間、6s Plus比で7 Plusが1時間延びており、実際、外出先で使っているとバッテリーの減りがやや緩やかになった印象を受ける。

 特に大きな変化といえるのが、カメラ機能だろう。iPhone 7ではレンズのF値が1.8と明るくなり、これまでiPhone 6 PlusやiPhone 6s Plusにしか搭載されてこなかった、光学式手ブレ補正にも対応した。スペック以上に、この進化は写真を撮るだけで一目瞭然だ。特に室内など、光量が不足しがちなシチュエーションでの写真が以前より明るくなり、より暗い場所でも細部が鮮明になっている。

 より特徴的なのがiPhone 7 Plusで、こちらは先に述べたように、焦点距離が28mmと57mm、2つのカメラを搭載している。これらを切り替えることで、疑似的に光学2倍ズームの撮影が可能になった。その効果は明白で、被写体に寄って撮りたいというときにも、ワンタッチでカメラを切り替えられ、構図が決めやすい。

 ただし、被写体との距離など、条件によっては、自動的に28mm側のカメラを使い、2倍のデジタルズームが使われることもあるようだ。恐らく、2倍程度であれば、画像の劣化も少なく、F値も28mm側のレンズの方が低いため、よりキレイな写真が撮れるとAppleが判断したからだろう。シャッターを押すだけで自動的に美しい写真が撮れるiPhoneならではの処理ともいえる。

 一方で、iPhone 7 Plusで撮った被写体は、なぜか露出がうまく合わないことも何度かあった。必要以上に明るくなってしまい、全体的に白飛びしてしまうケースも見受けられた。2つのカメラを使い分けるという新しい技術に挑戦していることもあり、ソフトウェアの調整がまだ完全ではないのかもしれない。また、2つのカメラと機械学習を使い、背景のボケを際立たせる「ポートレートモード」もアップデートでの対応となる。その意味でも、iPhone 7 Plusのカメラをフルに生かせるようになるには、もう少し時間がかかりそうだ。

 スピーカーもステレオになり、臨場感が上がった。音は本体センター側から聞こえる仕組みで、音量も増加しているため、動画などを再生すると、迫力が増したような感覚を覚える。もっとも、その副作用として、カメラのシャッター音やスクリーンショットまで大音量になってしまったのだが……。シャッター音は盗撮防止のため、ある程度はやむを得ないにしても音量が大きすぎるし、スクリーンショットではそもそも不要なはず。実際、Androidスマートフォンでは多くが、マナーモード時のスクリーンショットの音を無効にしているため、こうした仕様はぜひiPhoneにも取り入れてほしい。

 また、音楽関連では、3.5mmのイヤフォンジャックも廃止されてしまった。防水仕様のためや、より本体をすっきり見せるためなど、さまざまな理由が考えられるが、変換ケーブルを使わなければ音楽が聴けないのは、やはり不便だ。イヤフォン側に変換ケーブルを付けっぱなしにしておけば、なくす心配も減るが、イヤフォンを他の機器で使う場合もあるので、その場合は変換ケーブルを外さないといけない。

 シンプルな接続方法を実現した「AirPods」も発売されるが、Bluetooth経由になると、急な切断があったり、バッテリーを気にしなければいけなかったりと、取り回しが面倒になる。iPhoneで音楽を聴かない人にはいいかもしれないが、iPhoneはもともとがiPodから派生した商品であるだけに、次機種以降での復活を期待したい。

 機能面では、センサーになったホームボタンも、賛否が分かれるところだろう。物理キーではなくなったため、可動部が減り、故障の原因が1つ減った上に、防水にもしやすくなるなど、メリットはある。その反面、いくら「Taptic Engine」を使い、疑似的に押し心地を再現しているとはいえ、やはり長く親しんできたホームボタンとは使用感が異なる。センサーのため、爪で押し込めないのもネックだ。もちろん、慣れの問題もあるかもしれないが、iPadも併用している筆者の場合、操作性の違いで混乱することがままある。使うにつれ、誤操作は減ってきてはいるが、今でも意図せずSiriが起動してしまうこともある。

●日本での決定打になりそうな防水・防塵とFeliCaへの対応

 一部は賛否両論ありそうだが、全体として見れば、機能は順当に進化しているiPhone 7と7 Plus。とはいえ、こうした違いは、新しいiPhoneを使っていればいるほど、感じにくい部分かもしれない。例えばカメラも確かにキレイになり、比較すれば違いは分かるが、iPhone 6で決定的に不満があったかといえば、そうでもない。感動を覚える一定の閾(しきい)値は、既に過去のiPhoneで超えてしまっているのだ。

 こうした機能以上にインパクトがあったのが、防水(耐水)・防塵への対応だ。この仕様は特別日本向けというわけではないが、日本市場でこそ、セールスに大きな影響を与えると予想している。実際、iPhoneのライバルを見ると、プレミアムモデルでは防水対応が一般的になりつつある。防水・防塵は、もともと日本市場で人気のあった仕様で、フィーチャーフォン時代は、シーズンのテーマとして大半の端末を防水にしたキャリアもあった。スマートフォンになってもその流れは受け継がれ、日本メーカーはこぞって防水に対応した。

 グローバルでは、日本発のソニーモバイルがまず防水をアピールし始め、トップシェアのサムスン電子がここに追随し、一般化した流れがある。サムスン電子は「GALAXY S5」で防水に対応したものの、フルモデルチェンジを行った「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」でこれを撤廃したが、ユーザーからの不満を受け、「Galaxy S7」「Galaxy S7 edge」で復活させているほどだ。

 日本でも売れ行きを左右する仕様といわれており、スマートフォンのシェアで半数近くを占めるiPhoneがここに対応したインパクトは決して小さくない。セールス面での期待ができる以上に、ユーザーとしては、利用シーンが広がることが歓迎されそうだ。これまでiPhoneを持ち込めなかった、または持ち込むのがためらわれたお風呂やキッチンでも利用できるようになり、“肌身離さず持ち運ぶ”という表現がより適切になっている。高額な製品だけに、急な雨に降られたときの心配がないのも、うれしいポイントといえる。

 さらにインパクトが大きかったのが、FeliCaへの対応だ。iPhone 7/7 PlusではApple Payの通信にFeliCa方式が使えるようになり、チャージ型の電子マネーではSuicaが、クレジットカードではiD、QUICPayがそれぞれサービスを開始する。フィーチャーフォンやAndroidのおサイフケータイと比べると対応サービスが少ないのは残念だが、一方で、Apple Payならではの利便性もあり、少なくとも話を聞く限りでは、利用のハードルが低くなっている。

 例えば、Suicaであれば、カードをタッチするだけで情報を取り込むことができ、標準のマップアプリとも連携。目的地まで行く場合に残高が足りないときに通知してくれるなど、インテリジェントな機能も加わっている。チャージもApple PayでiDやQUICPayを使って行えるという。

 おサイフケータイのモバイルSuicaは、カードのSuicaとは別に発行しなければならず、JR東日本グループのビューカードでないと年会費もかかってしまっていた。アプリのユーザーインタフェースも、フィーチャーフォン時代のものを引きずっている。こうした障壁を取り除き、スマートフォン時代にふさわしいSuicaに再設計したというのが、Apple Payで使えるSuicaといえるだろう。

 とはいえ、FeliCa版Apple Payのサービスインは、10月下旬となっており、筆者もまだ取材で話を聞いただけで、実際の利用はできていない。どこまでスムーズに使えるのかの判断は、ここでは保留としておく。それでも、長年おサイフケータイを愛用してきた1人である筆者にとって、これはうれしい機能進化であることは間違いない。

 日本で人気の防水に対応し、根強い愛用者がいるFeliCaもApple Payと融合する形で利用できるようになった。もちろん、カメラやスピーカー、パフォーマンスなど、スマートフォンで重視される部分もしっかり性能は向上している。デザイン面での変化の少なさもあり新鮮味が感じられないところはあるものの、iPhone 7/7 Plusはより“隙がなくなったiPhone”だといえる。

●iPhone 7 Plusの使い勝手には不満が残る

 ただし、5.5型のiPhone 7 Plusに関しては、そのサイズゆえに、どうしても使いづらい印象があり、今回もその印象は払しょくできなかった。デザインの観点では、やはり他の大画面スマートフォンに比べ、ベゼルが太く、ホームボタン周りのスペースも広いため、片手で持ったとき、画面の上部に指が届きづらい。そもそも、その原点ともいえるiPhone 6 Plusは、Appleが初めて大画面スマートフォンに挑戦した機種で、まだ試行錯誤の様子もうかがえた。

 そこから3世代目にあたるiPhone 7 Plusで、持ちやすさなどに、大きなアップデートがないのは残念な部分だ。その間、競合他社は大画面での持ちやすさを追求し、毎年、メーカーによっては半年に1回、さまざまな工夫を盛り込んでいる。ソフトウェアにしてもそうで、例えば、画面上部左からアイコンが自動整列される機能は、いまだにそのまま。iPhone 7 Plusだけは手動で下にアイコンを並べられるなど、iPhone 7との違いを出してもよかったはずだ。

最終更新:9/25(日) 19:56

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