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競泳・平井監督の“秘蔵っ子”青木玲緒樹が覚醒

デイリースポーツ 9/24(土) 14:00配信

 五輪という舞台は、出る者、見る者、目指す者にとって何よりも大きな刺激を与える。あらためてそう感じたのは、リオデジャネイロ取材から帰ってきてからだった。

 9月2~4日に行われた競泳の日本学生選手権(インカレ)。萩野公介(22)=東洋大=ら、リオ五輪代表組の凱旋レースであると同時に、4年生最後の大一番。さらに、東京五輪に向けた新たな競争のスタートという意味合いを持つ大会で、五輪金メダリストの北島康介氏、萩野を育て上げた平井伯昌ヘッドコーチ(53)の“秘蔵っ子”が、飛躍の予感を漂わせた。

 女子平泳ぎを得意とする青木玲緒樹(れおな)=東洋大=は、東京都出身の21歳。小学3年から、北島氏も幼少期に通った東京スイミングセンター(SC)で競泳人生をスタートさせ、東京SCに勤めていた平井コーチに師事した。現在は同コーチが監督を務める東洋大4年で、リオデジャネイロ五輪でも活躍した萩野、内田美希(21)らと同期に当たる“萩野世代”の1人だ。

 最後のインカレで、青木が輝いた。本命種目の200メートル平泳ぎでは、決勝で自己ベストを2秒近く更新する2分22秒40をマークし優勝。今季の国内ランクでは、金藤理絵(Jaked)に次ぐ堂々の2位で、リオ五輪決勝でも5位に相当するタイムだった。100メートル平泳ぎでも、自己ベストの1分6秒68で優勝。こちらもリオ五輪で5位に相当するタイムだ。

 平井コーチからは、大会前から100メートルのスピード強化を指示され、練習を積んできた。「私は200メートルが得意なんですが、どちらかというと前半に強いタイプ。100メートルのスピード強化は、200メートルにも生きている」。

 ただ、青木にとって何よりも大きな刺激になったのが、日本から熱視線を送った8月のリオ五輪だ。平井チームで一緒に練習してきた萩野、星奈津美(ミズノ)の活躍。そして、同じ200メートル平泳ぎで金メダリストとなった金藤理絵(Jaked)の優勝に強い感銘を受けた。

 「昔から一番、尊敬してきたのが理絵さんだった。理絵さんが金メダルを獲るのを見て本当に感動した。あの年齢でもできるんだと勇気をもらった」。

 金藤を指導する加藤健志コーチも青木のジャンプアップに目を見張った1人だ。9月10日の国体(盛岡)では、100メートル平泳ぎで優勝した金藤とタッチの差で2位に入った21歳に「リオから帰ってきたら、玲緒樹がすごく速くなっててビックリした」と目を丸くした。平泳ぎのフォームにも変化が見られたといい、「もともと力はあったけど、泳ぎを見たら理絵の泳ぎを参考にしてる」と、リオ五輪を経ての進化を分析した。

 主戦場は女子200メートル平泳ぎ。ただ、この種目にはリオ五輪金メダルの金藤、ロンドン五輪銀メダルの鈴木聡美(ミキハウス)、15年世界選手権金メダルの渡部香生子(JSS立石)ら、世界トップレベルの選手が国内に集まっているため、青木はこれまで世界大会の代表には入れていなかった。

 来春には大学卒業を控える。中学からは毎年のように平井チームの高地合宿にも参加してきたが、昨冬の出発前、同コーチは「玲緒樹と高地に行くのは、これが最後(大学卒業で現役引退)になるかもしれない」と寂しそうに話していた。そんな人生の岐路に立つ中で、まな弟子のインカレ2冠達成を「この瞬間を10年待ってきました。やっと結果を出してくれた」と誰よりも喜んだのも、小学生時代から面倒を見てきた名伯楽だった。

 大会を終えた青木本人は「東京五輪を目指して、競泳を続けるつもりです」と明言。現在は就職活動中で、「競技を続けられるところを探しています」と意欲を見せた。所属先を探す上でも、自身初のインカレ2冠は大きなアピールになったはずだ。

 社会人1年目となる来年は、初の世界選手権出場を目指す。金藤が現役を続行する可能性もあり、渡部、高校生の今井月(愛知・豊川高)らライバルと代表2枠を争うが、“名伯楽の秘蔵っ子”が地元開催の東京五輪に向けて大きな一歩を踏み出す。(デイリースポーツ・藤川資野)

最終更新:9/24(土) 17:58

デイリースポーツ