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“レベル4の完全自動運転”2020年に実現か? 各社の狙いと世界最大手トヨタの動き

エコノミックニュース 9/24(土) 12:43配信

 8月16日、フォードのマーク・フィールズCEOがシリコンバレーで記者発表し、「ハンドルもブレーキも無い。運転手も必要ない、完全無人のクルマ」を5年後の2020年量産開始すると宣言した。これは、先日発売して話題となった日産セレナに搭載のセミ自動運転とは大きく異なる。

 現在までのところ、クルマ自動運転は運転者への支援のレベルに応じて、自動運転を自動ブレーキなどの一部機能自動の「安全運転支援」(レベル1)から、制御や加速、ハンドル操作のうち複数自動の「高度運転支援機能であるセミ自動運転」(レベル2)。そのうえで、ドライビングは原則自動で必要時に運転者が担う「準自動運転」(レベル3)、「完全自動運転」(レベル4)の4段階に分けられている。

 日産セレナは8月発売の新型で国産車初のレベル2を達成した。発売後、アイドリングストップ機能の不具合で一時出荷停止となったが、注目度は高い。

 日産セレナは、フロントに備え付けたカメラでキャッチした前の車や道路の白線などのデータを画像処理し、人工頭脳を使ってアクセルとステアリング、ブレーキ操作を行なう。7月にメルセデス・ベンツが日本でも発売した新型「Eクラス」もレベル2の自動運転車で、セレナと同様に前の車を追走するのに加え、ウインカーで指示すれば車線変更できる。しかし、現状はレベル3までのシステムは“準自動”であり、あくまでドライバーのための「安全運転“支援”システム」でしかない。

 完全自動運転車の開発は、自動車メーカーに加えてIT大手も開発にしのぎを削っている。米グーグルは2010年に開発計画を公表し、2020年前後に完全自動運転の実用化を目指している。今年に入ってから、6月にフォルクスワーゲン(VW)、7月にはBMWがそれぞれ2021年の導入を表明した。そして今回、フォードが「2020年量産化」を打ち出した。

 自動車メーカーやIT企業の提携も盛んだ。BMWは米インテルと提携し、ダイムラーなどと共同で独デジタル地図会社を買収した。米ゼネラル・モーターズ(GM)や日産はイスラエルの企業と提携する。

 今まさに、クルマとあらゆる産業、そして社会制度をも大きく変える「自動運転革命」が起きようとしている。新たな時代の到来を見据え、異業種から参入したグーグルは、一気に完全自動運転を目指している。21世紀の産業革命のテーマは「クルマの自動運転」に絞られてきた。

 なお、日本政府は2020年を目途にレベル3を実用化する計画だ。東京五輪で世界にアピールするつもりらしい。国内のメーカーも完全自動運転を視野に入れつつあるが、フォードなどの目標に比べると、かなり控えめだ。


■トヨタが米国に設立した「TRI」とは?

 ところで、自動車メーカー世界最大手のトヨタは今年1月、子会社「トヨタ・リサーチ・インスティテュート(Toyota Research Institute, Inc./TRI)」を米国シリコンバレーに設立し、そのトップにギル・プラット(Gill A. Pratt)氏を据えた。5年間で10億ドル(約1000億円)を投入し、AI(人工知能)などを研究する。

 プラット氏は、米国でロボット工学やAI研究を牽引する第一人者だ。前職の米国防総省・国防高等研究計画局(DARPA)在籍時に東京電力福島第一原発事故を契機に、災害対策ロボットの開発を競う国際コンテストを立ち上げた人物だ。

 設立当初、TRIは4つの目標を掲げた。その目標とは、「事故を起こさないクルマ」をつくるという究極の目標に向け、クルマの安全性を向上させる。これまで以上に幅広い人々に運転の機会を提供するために、クルマをより利用しやすい装置にする。また、モビリティ技術を活用した屋内用ロボットの開発に取り組む。人工知能や機械学習の知見を利用し、科学的・原理的な研究を加速させるというものだ。

 プラット氏の人脈で優秀な研究者をTRIに集結させることもトヨタは期待した。実際、多くの研究者が合流した。3月には、自動運転車開発メンバーをとして米Jaybridge Robotics社に在籍していた16名のソフトウェア開発チームを採用した。また、IT業界の雄であるグーグルで自動運転プロジェクトを立ち上げ、ロボット部門長をも務めたジェームス・カフナー氏もTRIに加わった。故に、いまでは、TRIを「ドリームチーム」と評している米メディアが多い。TRIは1月にスタートしたばかりだが、すでにスタッフは100名を超えた。同時に米国内で3カ所目となる研究所をミシガン州に建てた。

 完全自動運転システムの構築において、欧米勢が先行するも、2020、21年ごろを目途とする今後の5年の攻防が重要になりそうで、国境を越えた合従連衡にも注目が集まる。(編集担当:吉田恒)

Economic News

最終更新:9/24(土) 12:43

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