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心の中に時効ない…熊谷小4ひき逃げ30日で7年 母親、犯人信じる

埼玉新聞 9/24(土) 0:48配信

 埼玉県熊谷市本石の市道で2009年9月、市立石原小学校4年の小関孝徳君=当時(10)=が車にひかれて死亡したひき逃げ事件は逃走車両が見つからぬまま、30日で7年が経過する。明らかにならない真相、近づく時効成立の時。孝則君の母親(48)は良心を信じ、犯人が自首して自ら真相を語ることを望んでいる。

 大切な一人息子を亡くした「あの日」がまた、近づいてきた。「交通事故で息子を亡くしたかわいそうなお母さんという姿を見せたくない」。普段は何事もなかったかのように振る舞っているが、9月や月命日になると、体調が万全でいられなくなる。

 孝徳君が4歳の時に、夫が病死。以来、母子の合言葉は「2人しかいない」。お互いが寄り添い、助け合いながら生きてきた。そんな生活が、事故を境に大きく変わった。

 この間、見えない犯人の姿を懸命に追い掛けてきた。逃走車両のヒントになればと現場周辺に立ち、通行車両のナンバーをチェック。情報提供を呼び掛けるチラシを配布したりもした。

 6月には初めて、駅頭で情報提供を呼び掛ける活動にも参加。それを知った建設関係者が協力を願い出て、都内でチラシを配るなど、情報提供を呼び掛ける声は今も広がっている。

 「すごくありがたいこと」。支援には感謝しかない。「(容疑者逮捕のために)できることはやってきた。ほかの手段があるなら教えてもらい、それを実践したい」。母親はそう感じている。

 だが時は無情だ。道交法違反(ひき逃げ)罪の時効は7年。30日までに容疑者が見つからなければ、立件はできなくなる。死亡事故を起こしたことに対する時効は2019年9月のため、捜査は継続されるが、事故当初は考えもしなかったことだ。

 「考える時間が増えたことで、犯人が生きていないんじゃないかとか、いろんなことを考えるようになってしまった」。時の経過が気持ちを変化させる。

 変わらぬ思いもある。それは犯人に対する憎しみよりも「真実を知りたい」という思いだ。現場の状況などから、自転車に乗っていた孝徳君は事故前に何らかの原因で転倒。その後に車にひかれた可能性が高いとみられている。

 「どうしてブレーキを踏まなかったのか」「どうして逃げたのか」―。犯人の口から真実が聞きたい。

 時効が近づく中、こんな思いを口にする。「時効が成立しようと、事故が起きた事実に変わりはない。孝徳を失ったことに対する時効はないんです」。一人息子を亡くした母親にとって、心の中の時効はない。それでも法としての時効は迫っている。それなら…。「時効が成立する前に自首してください」。犯人の良心を信じ、その時を待ち続けている。

 事件に関する情報は、熊谷署(電話048・526・0110)へ。

 【メモ】事故は2009年9月30日午後6時50分ごろ、熊谷市本石1丁目の市道で発生。自転車に乗っていた市立石原小4年小関孝徳君=当時(10)=が車にひかれて死亡した。車は普通乗用車で、北大通りから国道17号方面へ逃走したとみられているが、現場に残された痕跡は少なく、有力な手掛かりは得られていない。事故後、匿名男性が有力情報提供者に300万円を支払うことを申し出た。

最終更新:9/24(土) 0:48

埼玉新聞