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日本空襲部隊を次期爆撃機に命名したアメリカ そこにある意味は?

乗りものニュース 9/24(土) 10:01配信

日本本土を初めて空襲した部隊の名前

 アメリカ空軍は2016年9月19日(月)、ノースロップ・グラマン社において開発中の次世代重爆撃機B-21に「レイダー」と命名したことを発表しました。

【写真】尾翼がないステルス爆撃機、B-2「スピリット」

 B-21「レイダー」は高いステルス性と情報収集能力、ネットワーク能力を持つ次世代の長距離攻撃情報戦プラットフォームであり、既存の爆撃機B-2A「スピリット」、B-1B「ランサー」、B-52H「ストラトフォートレス」とは一線を画す存在です。B-21が2020年代半ばの実用化を目指す一方、前述のB-52H、B-1B、B-2Aは2040年頃に退役が始まる見込みであるため、アメリカ軍では当面、4機種の爆撃機が運用されることになります。

「レイダー」とは、「侵入者」「急襲者」を意味する言葉です。これは太平洋戦争において日本本土を初空襲したドゥーリットル攻撃隊「ドゥーリットル・レイダーズ」にちなんでおり、B-21の命名式典には「ドゥーリットル・レイダーズ」最後の存命者である101歳のリチャード・E・コール元中佐も招待されました。

 これらをふまえると、B-21「レイダー」は、日本にとって因縁浅からぬ名前であるといえるでしょう。しかし結論からいえば、アメリカ空軍には、日本に対してのなんらかの意図や悪意があるとは考えることができません。

空母から爆撃機を発進 「片道きっぷ」の無謀な攻撃

 太平洋戦争勃発直後の1942(昭和17)年。アメリカは、前年の真珠湾奇襲攻撃による大打撃など、圧倒的な日本軍の攻勢によって連戦連敗を強いられていました。こうしたなか、アメリカ軍は「空母からB-25爆撃機を発進させ日本本土を急襲する」という奇襲作戦を立案します。指揮するのは、アメリカ陸軍のジミー・ドゥーリットル中佐です。

 ただ、この作戦には問題点がありました。B-25「ミッチェル」爆撃機は本来、陸軍機であり、空母での運用を目的とした機種ではなかったのです。そのため、本作戦でドゥーリットル中佐が率いる16機のB-25は、可能な限り機体を軽くして空母から発進、日本本土を爆撃したらそのまま海を渡り中国大陸へ抜けて着陸するという、ほとんど捨て駒ともいえる無謀な片道攻撃を行わなければなりませんでした。

 帰還を前提としないこの作戦へ果敢にも志願した、ドゥーリットル中佐と乗員79名からなる「ドゥーリットル・レイダーズ」は、1942年4月18日、爆撃を成功させ、日本各地に被害をもたらします。ただ、本作戦における当初の標的であった日本の軍施設や工場には、まったくといっていいほどダメージを与えることはできませんでした。

 とはいえアメリカにしてみれば、初めて真珠湾攻撃の「報復」を成功させたという事実が重要でした。アメリカ国民は「ドゥーリットル・レイダーズ」を英雄として讃え、その士気は大いに高まりました。

 一方、日本は敵空母の接近を防ぎ本土空襲を許さぬためにも、本土とハワイのあいだに位置するミッドウェー島の攻略を重要視するようになります。これが、太平洋戦争における大転換点となる、1ヶ月半後のミッドウェー海戦と、それにおける日本の大敗北へとつながります。

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最終更新:9/24(土) 11:27

乗りものニュース