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社説[辺野古訴訟 県が上告]自治権軽視 問いただせ

沖縄タイムス 9/24(土) 12:00配信

 名護市辺野古の新基地建設を巡る訴訟で、県は23日、翁長雄志知事の埋め立て承認取り消しを違法と判断した福岡高裁那覇支部の判決を不服として最高裁に上告した。

 1996年、米軍用地の強制使用手続きを巡る職務執行命令訴訟(代理署名訴訟)で、当時の大田昌秀知事が最高裁に上告し敗訴してから今年でちょうど20年。基地問題を巡る県と国の訴訟が再び、最高裁に持ち込まれたのである。

 憲法や地方自治法、戦後沖縄の歴史に照らして、この状況はあまりにも理不尽だ。この状態が本土にはほとんど異常さとしては伝わっておらず、そのことが国の行政権の乱用を招いている。司法や国会がチェック機能を失えば、市民の権利や平穏な暮らしは一体、誰が守るのか。

 最高裁で相争う事態は、福岡高裁那覇支部が和解勧告文の中で指摘した「本来あるべき姿」からの明白な逸脱である。国地方係争処理委員会は、「真摯(しんし)に協議」することが問題解決への「最善の道である」との判断を示したが、この決定にも背いている。

 なぜ、そうなったのか。国が司法の場での「決着」を重視し、福岡高裁那覇支部も国の方針に沿った訴訟指揮を続けたからだ。

 和解前の代執行訴訟においても和解後の違法確認訴訟においても、県が申請した証人はことごとく却下され、裁判所が専門家の声を聞くことはなかった。なのに判決では、「辺野古が唯一の選択肢」だという国の主張を根拠も示さずに採用したのである。

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 問われるべき判決の問題点は多岐にわたる。

 係争委軽視があまりにも露骨で、係争委の存在意義を否定するような判決になっていること。

 本来、翁長知事の承認取り消し処分を審理の対象にすべきなのに、前知事の承認処分に裁量権の逸脱があったかどうかを判断し、結論を導き出していること。

 「国の説明する国防・外交上の必要性について、具体的な点において不合理であると認められない限りは、被告(県)はその判断を尊重すべきである」と指摘していることも、沖縄の歴史と現実を無視した議論である。

 米軍は地位協定によって排他的な管理権を保障されているため、事故が発生しても地方自治体は基地内調査もままならず、日米合同委員会における一方的な取り決めによって自治権が著しく侵害され、原状回復の義務を負わないため返還後に環境汚染問題が表面化しているのが現状だ。

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 判決は、辺野古移設計画について「建設に反対する民意には沿わないとしても、普天間飛行場その他の基地負担の軽減を求める民意に反するとはいえない」とも指摘している。一体、何が言いたいのだろうか。司法の公平性・公正性を疑わせるようなもの言いである。

 県が上告の理由書を提出するのは23日以降になるという。判決を丁寧に検証し、早急に県の基本的な考えを明らかにしてもらいたい。

 最高裁判決後を見すえた対応も急ぐべきだ。

最終更新:9/24(土) 12:00

沖縄タイムス