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国土交通省による不動産情報のIT化の取り組み動向

ZUU online 9/25(日) 6:10配信

物件探しといえば、一昔前までは不動産業者の店舗の壁に貼り出してある賃貸・売買物件を見て、気に入った物件があれば店舗に入って商談し、気に入れば申し込みをするというスタイルが一般的でした。しかしインターネットが普及した現代においては、ネットで物件を探してから店舗へ行くスタイルが主流です。

これまで不動産に関する情報について、不動産業者と一般消費者との間には、大きな情報格差がありました。しかし、これもインターネットの普及により、一般消費者でも物件情報の収集が容易になり、情報格差は縮まっています。

こうした背景の中、不動産業を管轄する国土交通省(以下、国交省)においても、ITを活用して不動産業の発達、改善を図ろうとする動きがあります。今回はその中から代表的な2つのテーマについて見ていきたいと思います。

■1. 不動産の取引価格情報等の提供

国交省では、不動産市場の信頼性・透明性を高め、不動産取引の円滑化と活性化を図るため、2006年4月から不動産購入者に実施したアンケートを基に、実際の取引価格などの情報を四半期ごとにインターネットで公表しています。
不動産の取引価格情報(http://www.land.mlit.go.jp/webland/)

上記サイトでは、アンケートの結果を地域毎に一覧表形式で閲覧することができます。所在地、取引時期、取引価格はもちろん、土地の面積、形状、建物の用途、構造、床面積、建築年、前面道路、最寄り駅、都市計画、建蔽率、容積率などが記載され、取引価格の分析が容易にできるように工夫されています。

同サイトにおける価格とは「成約価格」であり、一般的な不動産サイトにおける「販売価格」とは異なります。販売価格は、少しでも高く売りたいという売主の思惑が入るため、相場の参考としては扱いにくいのですが、成約価格は実際に成約した価格であり、より正確に不動産相場を把握する情報源となるでしょう。

また、同サイトでは、土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示する「地価公示」も開示されています。公示価格は、一般の土地の取引価格に対する指標であるとともに、相続税評価や固定資産税評価の目安として活用されているほか、土地の再評価に関する法律、国有財産、企業会計の販売用不動産の時価評価の基準としても活用されています。

なお、不動産価格は「一物四価」(実勢価格、公示地価、路線価、固定資産税評価額)で、路線価は公示地価の80%、固定資産税評価額は公示地価の70%程度と言われています。実勢価格とは、実際に取引される価格で、公示地価に対する割合など明確なルールは存在しませんが、不動産取引を行う上で、その不動産が高いのか、安いのかを判断する材料の一つになるでしょう。

■2. ITを活用した重要事項説明

国交省は、2014年度に行われた「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」の最終とりまとめを受けて、2015年8月31日より「ITを活用した重要事項説明に係る社会実験(IT重説社会実験)」を実施しています。

宅地建物取引業法(以下、宅建業法)においては、同法第35条記載の通り、宅地建物取引士が行う重要事項説明は対面式で行うものとされています。しかし、テレビ会議などの普及により、複数の遠隔地を結んで双方向での画像および音声のやり取りができるようになってきたことから、今回の社会実験が開始されました。

この実験には246社が参加しています。大手だけでなく地方の流通業者も参加し、また首都圏以外の参加者も128社と約半数を占めました。

今回の実験では、宅地建物取引士が取引相手とWEB上で対面し、取引士証を提示して重要事項説明に入ります。取引相手のユ-ザーも、従来の本人確認と同じように、免許証や戸籍謄本、住民票などを提示して本人であることを証明する必要があります。 また、説明の際は、物件の画像や図面を使って伝えて、電子署名の仕組みを使った書面の交付を行います。そして、実験から得られた問題点の整理・検証を行います。

もしITを活用した重要事項説明が解禁されれば、取引者は実際に対面して取引を行う必要がなくなるため、不動産店舗へ何度も足を運ぶなど、取引者同士が移動に費やす時間とコストの削減が期待されます。また、説明の記録やデータ保存の仕組みを整備すれば、後のトラブル防止に役立つとも期待されています。

しかし、ケース・バイ・ケースで直接対面し、重要事項説明を受けた方が良い場合もあります。

重要事項説明は、個々の物件により説明すべき内容、難易度が大きく変わります。築古で規模が大きく、既存不適格や欠陥がある物件であればあるほど、取引後にトラブルに発展する可能性が高くなります。こういうケースでは、時間をかけて丁寧に重要事項説明をしなければ、買主の理解を得られないケースもあり、それを対面ではなく、画面越しに長時間、聞き続けるのには抵抗がある方もいらっしゃるかもしれません。

一方、説明事項もほとんど必要ない取引であれば、上述のIT化により時間の節約や効率化が図れるのは、大いに歓迎すべき動きかもしれません。

今回の社会実験は、賃貸取引と法人間取引の2つに限定しており、個人を買主・売主とする売買取引は対象外とされています。しかし、いずれは個人間売買取引にもITによる対面が適用されて、画面を通じた重要事項説明が普及していく可能性はあるでしょう。(提供:TATE-MAGA)

最終更新:9/25(日) 6:10

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