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手塚治虫の語ったことが現実に…元祖アトム声優、メッセージを今に届ける

シネマトゥデイ 9/25(日) 8:20配信

 鉄腕アトムの声で知られる“声優の母”清水マリが19日、奈良県奈良市で開催された「なら国際映画祭2016」内のプログラム『鉄腕アトム 宇宙の勇者』星空上映会に出席、故・手塚治虫さんの語ったことが現実になってきているとしみじみ手塚さんのメッセージを思い返した。

 清水は、1963年から放送された日本初の連続テレビアニメ「鉄腕アトム」でアトム役の声優を務め、その後も「妖怪人間ベム」「宝島」などの名作アニメに参加した“声優の母”。この日は小雨ぱらつくあいにくの天気となったが、会場には親子連れを中心におよそ300人の観客が来場。そんな子どもたちに向けて清水は、アトムの声で「皆さん、お元気ですか? 奈良まで飛んできました」とあいさつし、会場を盛り上げた。

 ある日、手塚さんが「鉄腕アトム」アニメのパイロット版(試作版)を制作することになり、「アトムはピノキオをイメージしていて、わたしが中学生の時にピノキオ役をやっていたからわたしがやることになったんです。男の子でもない、女の子でもない、中間的な金属的な声というのが、手塚先生のイメージだったみたいですね」と述懐する清水。冒頭で、アトムを作った天馬博士に向かって「オトウサン」と呼びかけたシーンを見た手塚さんは、「アトムに魂が入った」と大喜びだったという。しかしフジテレビ系での本放送が決定するにあたり、当時無名だった清水ではなく、有名な声優にアトム役を変更することも検討しているといううわさを聞き、気落ちしたこともあったという。しかし手塚さんは「マリさんにやってほしい」とリクエスト。見事本放送でもアトム役を続けることができた当時を振り返り、「本当にうれしかったですね。手塚先生に足を向けて寝られないですよ」と笑顔を見せた。

 今年で80歳となった清水だが、まだまだ声にも張りがあり、精力的に活動している。「やはり『鉄腕アトム』をやったおかげで、若い方がイベントをする時に一緒に朗読を手伝ってくださいと言ってくださるの。だから今でも若い方と月に1度ずつくらいそういうイベントをやっています」とにっこり。

 「アトムは21世紀の物語として描かれたんですけど。今、21世紀になって高層ビルや高速道路が建ったりした反面、自然の破壊や心の荒廃など、手塚先生が言っていたことが現実になってきました。手塚先生は、戦争はダメだよ。ガラスの地球を一生懸命守ろうじゃないかと、そう訴えていました。それを心にかみしめないといけないなと思っています」と語った清水は、「だからもし手塚先生が長生きされたら、もっと先の物語を描いていただけたのかもしれない、もっと長生きしてくださったら良かったのにと思うんですよ」と故人をしのんだ。(取材・文:壬生智裕)

最終更新:9/25(日) 8:20

シネマトゥデイ

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