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新生銀行、個人向け無担保ローンの与信判断にAI活用

ニュースイッチ 9/25(日) 9:15配信

「レイク」の膨大な貸し倒れデータを分析。地方銀行の審査などに応用も

 新生銀行グループは2016年6月、グループで初めてフィンテック(金融とITの融合)領域で共同出資して新会社を設立した。人工知能(AI)を個人向け無担保ローンの与信判断の精度向上に生かす研究・開発を始めた。社内外のさまざまなデータと最新のアルゴリズムを利用する。年内にもAIを活用した新たな与信モデルを構築し、与信判断に取り入れる。

 新生銀行は、15年度までの3年間の中期経営計画で、自社の強みを認識し、経営資源を特化していくことで安定的に収益を上げることが今後の課題と総括。16年4月から始めた新中期経営計画では無担保ローンを成長分野の一つに位置づけた。

 新生銀の辻本慎二コンシューマーファイナンス部長は「個人向け無担保ローン市場が近年底打ちし始めている」と指摘。情報テクノロジーや科学的・統計的手法を活用した個人向けビジネスに、グループの競争力となる比較的優位性があると分析する。

 そこで、グループの新生フィナンシャル(東京都千代田区)と、データ解析や経営コンサルティングなどを行うグリフィン・ストラテジック・パートナーズ(グリフィン、同港区)の2社で、ビッグデータの収集・解析とAIの活用を目的にセカンドサイト(同千代田区)を設立した。

<過剰貸し付けにならない>

 新生フィナンシャルは新生銀行グループで展開する個人向け無担保カードローン事業で信用リスクスコアなどの顧客データと情報解析技術のビジネスへの応用に関する実績がある。一方、グリフィンは金融機関や事業会社に対するビッグデータ(大量データ)などの収集・解析力と、これに基づく経営コンサルティングに幅広い実績がある。

 セカンドサイト取締役でもある新生フィナンシャルの西村正博執行役員は「技術レベルの高さとスピード感」をパートナーに選んだ理由として挙げる。セカンドサイト最高経営責任者(CEO)でもあるグリフィンの加藤良太郎社長は「グリフィンとしても新しいアルゴリズムを使って、コンサルティングの幅を広げたい」とする。

 分析に活用するのは、新生銀行グループの「レイク」ブランドなど社内に蓄積された膨大な貸し倒れデータ。1990年初頭から蓄積があり、累計で500万件超にもなる。ここにウェブログ・データや従来から活用している申込書の記載情報に加え、顔写真、筆跡などの非構造化データを含め、AIを活用して分析していく。解析技術が向上すれば数値化できる項目も増える。

 順調に進めば年明けにも保証提携する地方銀行の保証与信審査や、無担保カードローンのニーズが高まっている地方銀行でのローン申し込み前の事前与信モデルなどに応用が可能としている。

 西村執行役員は「今回の取り組みは審査精度の向上が目的。過剰貸し付けにならないようにこれまでより多い情報で厳正に審査することになる一方、これまで取りこぼしていた新規顧客の開拓にもつなげたい」と意欲的だ。

日刊工業新聞経済部・山谷逸平

最終更新:9/25(日) 9:15

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