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日銀の「総括的な検証」物価上昇は金融緩和と構造改革で

日刊工業新聞電子版 9/25(日) 22:30配信

マイナス金利の深掘りは温存

 「原油安や消費税率引き上げ、新興国経済の減速に伴う物価上昇率の低下などが2%の物価目標達成を阻害した。(今後の政策運営は)より持続性があり、状況に応じて柔軟に対応できる枠組みが必要」―。

 日銀は21日に開いた金融政策決定会合で、2年で消費者物価上昇率2%を目指して2013年4月から実施してきた「異次元緩和」について「総括的な検証」を行った。3年半の大規模緩和の効果と問題点を踏まえ、消費者物価が安定的に2%を超えるまで金融緩和を継続し、デフレ脱却を確実なものにする意欲を示したことは評価したい。

 新たな枠組みとして日銀が発表したのは「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」。マイナス金利と国債買い入れを組み合わせることにより、利回り曲線(イールド・カーブ)を操作することが必要と判断したもの。これにより貸出金利や住宅ローン金利を低下させる効果を維持しつつ、年金や生保の運用が悪化し、金融機関の収益が圧迫されるなどの副作用は解消しようというのが狙いだ。

 安倍晋三首相らが「マイナス金利は悪いことばかりではない」とマイナス金利の深掘りを促す印象を与えた。しかし今回の会合ではマイナス金利幅や量的緩和を拡大しなかった。

 これは10月31日、11月1日に開く次回の金融政策決定会合で「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)が発表され、物価目標達成時期の見通しが再び先送りされ、追加緩和策を打ち出す必要があるとみられるためだ。いわばマイナス金利の深掘りなどを温存したといえる。

 物価目標の達成を阻害した要因を分析すれば、目標達成が金融政策だけで実現できないのは明らかだ。中長期的な物価や経済成長の見通しが明るくならない限り、デフレ脱却は望めない。それらは経済政策に負うところが大きい。英国の欧州連合離脱や中国経済の低迷などで、世界経済の不確実性は今後さらに高まることが予想される。こうした中で物価上昇を実現するには金融緩和と構造改革を並行して進める必要があろう。

最終更新:9/25(日) 22:30

日刊工業新聞電子版